左室低形成症候群|まつみレディースクリニック|港区・田町・浜松町の産科・婦人科・不妊|女医在籍

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左室低形成症候群

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今日は、先天性心疾患(生まれつきの心臓の構造の異常の病気)の話。”  左室低形成症候群の論文「Prenatal diagnosis of hypoplastic left heart syndrome using color doppler ultrasonography.」も書いた。”  とお話しましたが、この論文は(医師になって2年目の、いわゆる「よちよち歩き」のころのもので)診断したのも焼津市立総合病院の成高和稔科長、当時の東大教授の武谷雄二先生の赤ペンが入り私の文章はほとんど原型なしです。焼津の成高先生には、手取り足取り、手術や異常分娩の管理など初期研修時代には大変お世話になりました。ちなみに、掲載されているのはインドの雑誌ですので検索しても出てきません。(インドの雑誌がダメだというのではなく、日本の雑誌にも検索にあがらないものもあります。また、インドの「アーユルヴェーダ」という中国の漢方にあたる医学は伝統がありますし、数学者のラマヌジャンは天才です。)

 

「左室低形成症候群」とは、わかりやすく言うと、心臓の左室(心臓の左側の下の部屋)が小さい(低形成)の病気です。

 

「腹壁破裂」と同じように病気のことをツラツラ書いてもつまらないので、診断(diagnosis )に使った「カラードップラー超音波(color doppler ultrasonography)」のことを書いてみます。先天性心疾患の話は、またの機会があれば。

 

ドップラー効果とは、波(音波や光波など)の発生源(音源・光源など)と観測者との相対的な速度によって、波の周波数が異なって観測される現象のことをいいます。波の発生源が近付く場合には波の振動が詰められて周波数が高くなり、逆に遠ざかる場合は振動が伸ばされて周波数は低くなります。身近なたとえでは、救急車のサイレンの音は近づいてくると大きな音になり、遠ざかると小さな音になります。音源が近くにあれば大きく聞こえるのは当たり前。コンサートなどでも前列のS席の方が後ろのC席よりいい席です。(注意;これはドップラー効果ではありません)。実は気を付けて聞いてみると、音は救急車が通り過ぎると高い音から低い音に変わります。これをドップラー効果と呼びます(音の大きさではなく、高さが変わること=周波数が変わること)。カラードップラー超音波(color doppler ultrasonography)はこの原理を使って生体内の血行動態に色を付け、リアルタイムで超音波で表示する方法です。

 

ちなみに、心臓、ほ乳類では2心房2心室(部屋が4つ)ですが、魚類は1心房1心室(部屋が2つ)です。上野の国立科学博物館の「人体―神秘への挑戦―」展にて綺麗に図解してありました。