婦人科腫瘍(子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん)
婦人科腫瘍(子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん)
子宮頸部の組織に悪性(がん)細胞が認められる病気です。
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が子宮頚頸がんの発生する主要なリスク因子です。
通常、初期の子宮頸がんには顕著な症状は見られませんが、定期検査で早期に発見することが出来ます。
子宮頸がんを疑う症状としては、性器出血、下腹部痛、腰痛などがあります。
国内では、毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約3000人が死亡しており、また2000年以後、患者数も死亡率も増加しています。
10~14歳が最も効果的な接種年齢ですが、45歳までワクチンの有効性が証明されています。
HPVワクチンは、子宮頸がんを起こしやすいタイプであるHPV16型と18型の感染を防ぐことが出来ます。
当院ではシルガード®9とガーダシル®という2種類のワクチンを取り扱っています。
シルガード®9は、従来のガーダシル®の4つのHPV型に、さらに5つのHPV型が加わったことでより幅広いHPV型に対する疾患の予防が期待できます。
日本では、子宮頚がんにおけるHPV16/18型の感染率は65.4%と報告されています。
シルガード®9は、これらに加え特にアジア人において感染率が高いと言われているHPV52/58型を含むことで、子宮頸がんの原因となるHPV型の88.2%をカバーします。
1回目 | 初回接種 |
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2回目 | 初回接種から2か月後 |
3回目 | 初回接種から2か月後 |
子宮頸がんワクチンが大多数の女性にとってメリットが大きい予防接種であることは世界的に認められております。
一方、重篤な神経障害などの副反応との因果関係がはっきりわかっていないところもあります。
接種のあとご家族などが接種者の様子を観察し、異変があった場合には速やかに病院を受診してください。
接種をご希望される方は、以上をご承知いただきますことをお願いいたします。
厚生労働省の感染症・予防接種相談窓口(03-5276-9337)もご活用ください。
子宮内膜という組織に悪性(がん)細胞が認めれる病気です。
そのため、子宮内膜がんとも呼ばれます。
50~60代に多くみられ、閉経後の女性が罹患しやすい傾向にあります。
子宮体がんを疑う症状としては、帯下(おりもの)の異常、下腹部痛、腰痛などがあります。
子宮内膜を軽くこすって細胞を採取し、顕微鏡で異型細胞の有無を調べます。
細胞診で異常があった場合、より詳しく調べるために組織のかたまりを採取します。
内視鏡を使用して子宮内腔の状態を観察します。
超音波を用いて子宮体部の中の様子を画像にして調べます。
体の内部を画像にしてがんの位置や広がりを調べます。
血液検査でがんによって産生される物質を調べます。
子宮と両側の付属器(卵巣・卵管)を取り除く手術が基本です。
がんの位置や広がりに応じて放射線を用いた治療が行われることがあります。
抗がん剤による化学療法が行われることがあります。
がん細胞を攻撃するための免疫システムを活性化させる治療があります。
卵巣がんは、子宮の両脇にある卵巣に発生するがんです。
卵巣がんは、その発生する場所によって上皮性・胚細胞性・性索間質性などの種類がありますが、90%以上が上皮性のがんです。また、悪性度が比較的低く、境界悪性腫瘍と呼ばれる卵巣がんも存在します。
年齢別にみた卵巣がんの罹患率は、40歳代から増加し、50~60歳代がピークですが、卵巣がんの死亡率は、50歳以降増加して高齢になるほど高くなります。
子宮や卵巣の状態を確認するために行われます。
腹部や腟内から超音波を用いて卵巣の状態を観察します。
卵巣以外の場所やリンパ節への転移を調べます。
CA125やCA19-9などの腫瘍マーカーの値を測定します。
細胞や組織にがん細胞があるかどうかを調べます。
がんを取り除く主な方法です。進行期や組織型に応じて手術の範囲が決定されます。
手術後に化学療法を行い、がん細胞を攻撃します。
がん細胞を破壊するために放射線を使用することもあります。
症状の管理や生活の質の向上を目的とした治療です。