昨年のクリスマスイブイブの12月23日は、東京大学医学部産婦人科講座の藤井知行主任教授(2020年12月31日まで在職、2021年1月1日より山王病院長)の最終講義でした。
藤井先生には東京大学産婦人科医局在籍中からお世話になっておりましたが、開業のご挨拶に主任教授室へ伺ってからは、より一層の多大なご指導、ご支援を賜っておりまして、どうしても最終講義を生で拝聴したく診療は午後休診にさせて頂きました。
オンライン診療の試験運用終了後、急ぎ本郷へ向かいましたがいつもの通り大幅遅刻。
新型コロナ感染症のため規制がされており、赤門にて入構許可証を発行してもらっての聴講となりました。
鉄門記念講堂には、産婦人科医局の関係者のみならず、連携が深い老年病科や小児科、小児外科といった診療科(産婦人科は、老年病科・小児科・小児外科とともに生殖・発達・加齢医学というグループに入ります。)をはじめ、学外からも著名な先生方が数多く出席されていました。
講義の内容は、不育症で原因がわかっているのは3割くらいで、原因(=リスク因子)不明の不育症の大部分は、実は不育症患者の加齢による胎児の染色体異常が流産の原因で、これを除いて計算するとおおよそ8割は無治療でも(=薬の投与や手術による治療なしで)続く妊娠で無事子供を授かっている、といった総論から始まりました。
続いて、診断基準のおさらいからBasic scienceの話へ。
基本的なお話は割愛させていただきますが、「不妊はAngry、不育はSad」が肝。
治療の歴史を紐解くと、過去には、不育症治療はリンパ球輸血といった免疫療法から始まったが、現在は当院でも行っているtender loving careこそが重要。
後半は不育症から周産期医療の話に移り、分娩にはコミニュケーションが大切で、管理型産科医療より支援型産科医療こそが「いいお産」。
不育症治療にも分娩にも共通してコミニュケーションこそが最も重要であるというのがキモ。
「患者さんの立場に立ち、患者さんの心も体も治す医師になってください。」という教授の最後のメッセージをしっかりメモ。
講演終了後、記念品や花束贈呈も終わり、壇上からフロアーに降りられる藤井主任教授に深々とご挨拶しましたところ、大きく頷いてくださいまして、感慨深く感謝の気持ちで足早に帰路につきました。
新年からは港区赤坂の山王病院長に藤井先生はご栄転されました。
山王病院との連携もより深めて、小さなクリニックではありますが港区の地域医療にできる範囲で貢献していきたいものです。
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