新型コロナウィルス感染症により、2月11日、建国記念日にWEB開催された第42回日本エンドメトリオーシス学会の参加報告の続きです。
「子宮筋腫の薬物治療・手術療法の最前線」について解説しています。
東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座の甲賀かをり准教授のご講演で出てくる手術療法と薬物療法についてです。
子宮筋腫に対する治療は、子宮温存を希望される方には薬物療法や保存手術を勧めます。
近年では、手術は腹腔鏡や子宮鏡など内視鏡によって行われることが多くなっています。
薬物療法は主に閉経が近い方や、生殖年齢で術前の処置として用いられます。
薬物療法はこれまでにGnRHアゴニスト製剤およびGnRHアンタゴニスト製剤が使用されてきました。
GnRHアゴニスト製剤は脳下垂体のGnRH受容体のダウンレギュレーションを起こしてゴナドトロピンの分泌を低下させる作用があります。
GnRH受容体のダウンレギュレーションとはGnRH(=ゴナドトロピン放出ホルモン)の細胞側のホルモンの受け手となる構造体(=受容体)の数を減らすことを意味します。
受容体のダウンレギュレーションが起きると、(ホルモンの作用を受ける側の細胞に存在する)ホルモンの受容体(=構造体)の数が減ることにより、ホルモンの(刺激が細胞に伝わらないので)、細胞(=組織)に対するホルモンの作用が減ります。
わかりやすく説明すると、視床下部という脳の上位中枢からの、脳下垂体(にある細胞に対する)GnRHの刺激が、アゴニスト製剤の作用により(GnRH受容体のダウンレギュレーションが起きるので)弱くなり、その結果、脳下垂体が分泌するゴナドトロピンの量が減るということです。
脳下垂体からのゴナドトロピンの分泌量が減ると、その結果、卵巣におけるエストロゲンの分泌量が減り、子宮筋腫は小さくなります。
以上が、GnRHアゴニスト製剤の作用機序(=くすりによって治療効果が出る仕組み)です。
さて、子宮筋腫で腹腔鏡下手術あるいは子宮鏡下手術をご希望の患者様は、当院を受診されますと、病状に応じて、オーダーメイドで東大病院を含む最適な病院へのご紹介が可能です。
クリニックでは、近隣の病院との特別に緊密な連携により、待期期間なくMRI検査やCT検査を受けることができるようになりました。
また、4月より婦人科腫瘍専門医も当院の診療チームに加わっています。
すなわち、子宮筋腫などの婦人科良性疾患の診断および治療(特に薬物療法)については、総合病院、基幹病院と同等の医療サービスを提供しております。
また、手術などの追加治療が必要な方については前述の通りで、特に、当院は東京大学産婦人科とは特別に緊密な病診連携体制を構築しておりまして、他院にない迅速な紹介受診とそれに続いた治療を受けることができます。
当院からの東京大学産婦人科へのご紹介の詳細については電話にてお問い合わせくださいませ。