5月15日の土曜日に行われた学会の参加報告の後編です。
今回の学会は、3つの学会(研修会)の合同の会合でした。
タイトルは、第41 回東京産婦人科医会・東京産科婦人科学会合同研修会並びに第397 回東京産科婦人科学会例会となかなか長かったです。
若手演題に続いての特別講演は「子宮筋腫とabnormal uterine bleeding の治療」という演題で、演者は東京大学医学部附属病院産婦人科の平池修准教授でした。
子宮筋腫や子宮内膜症の話はブログに書いているので、今日は、平池先生のご講演内容の中から「子宮内膜ポリープ」に焦点を当ててご紹介してみたいと思います。
「Abnormal uterine bleeding」というのを日本語に訳しますと、「不正子宮出血」となります。
新たに、欧米では、Abnormal uterine bleeding をPALM COEIN classification(=PALM COEIN分類)という分類にカテゴライズして、記載することになりました。
今後は日本産科婦人科学会でも、この新分類を統計などに利用するそうです。
PALM COEIN分類は以下のようにそれぞれの疾患の(英語表記の)頭文字を取っています。
P:Polyp (ポリープ)
A:Adenomyosis (子宮腺筋症)
L:Leiomyoma (子宮筋腫)
M:Malignancy & hyperplasia (悪性腫瘍と過形成)
上記のPALMの4つの頭文字であらわされる病気は臓器の構造異常を伴います(=器質的疾患です)。
一方、COEINは臓器の構造異常を伴わない原因です。
C:Coagulopathy (血液の凝固異常)
O:Ovulatory dysfunction (卵巣機能異常)
E:Endometrial (子宮内膜の機能異常)
I:Iatrogenic (医原性)
N:Not yet classified (分類できないもの)
さて、これらの疾患の中で、当院では子宮鏡検査をしています関係で、他院からのご紹介も含めまして子宮内膜ポリープの占める割合が多いです。
平池先生には会場からのわたしの質問にも回答をいただきましたが、子宮内膜ポリープには多発性のものと孤発性のものがありますが、炎症や血流などについてのパラメーターで調べると、上記2つのキャラクターは違うとのことでした。
子宮筋腫も多発性のものと孤発性とではそのキャラクターと原因遺伝子が異なります(過去ブログ:2021年3月24日:第42回エンドメトリオーシス学会(5):子宮筋腫の発生進展メカニズム(4)参照)。
特に多発性の子宮内膜ポリープは炎症を伴うことが多く、着床障害の原因となるため、不妊症の方は子宮鏡下手術をすることが望ましいと補足説明を頂きました。
これからも、最新のエビデンスとガイドラインに基づいた医療を行うため、可能な限り学会には参加したいものです。
壇上で、総会の司会をされています学会長の東京大学産婦人科大須賀穣主任教授に、深々とお辞儀しまして、学会場をあとにしました。
三田のクリニックまで早足に帰る途中で、日枝神社にコロナ禍が落ち着くようにお祈り。
青空を背景の日枝神社の写真は、宜しければ、Facebookもご覧下さい。