令和2年度(令和2年1月から令和2年12月まで)の当院の不妊治療の統計の解説です。
当院は平成30年12月3日に開院致しましてまだ2年半の成長過程にあるクリニックです。
3年目に入りまして、妊婦健診、不妊治療、不育症の患者さまのご予約が取りやすいように、一般婦人科の患者さまの予約枠を絞りながら診療しております。
まだまだマンパワー不足ですので、特に水曜日と金曜日は予約が取りにくくなっておりますが、不妊治療や不育症で通院されている方は、予約が取れることもありますので、クリニックまでご連絡ください。
3年目になり、子宮鏡検査もクリニックに導入し、不妊ドックやタイミング療法・人工授精による不妊治療を、オーダーメードを心がけ丁寧に診療をしてまいりした。
当然ですが、わたしが不妊治療専門施設で診療に携わっていたころに比べると、飛躍的に妊娠率は高いです。
平成31年度と比較しますと、概ね、妊娠率に大きな相違はありません。
簡単に解説しますと、令和2年12月の時点で当院に通院されている方のおおよそ3人に1人の方がご妊娠されています。
ちなみに、当院にこの1年間一度でも受診された患者さま(他院にご紹介した方、いらっしゃらなくなった方を含む)という母集団で割っても、おおよそ25パーセント、つまり4人に1人の患者さまがご妊娠されています。
妊娠に至らない患者さまの多くは、当院に通院されなくなる方です。
以前に不妊治療専門施設に勤務していた頃に比べると、脱落して当院に通院されなくなる方がとても多いです。
当院のタイミング指導で妊娠された方を母集団にして分析してみますと、初回のタイミング指導で約4割の患者さまが妊娠しています。
3回目までのタイミング指導になると約9割、6回目までのタイミング指導ではすべての患者さまが妊娠されています。
タイミング指導で妊娠に至っていない方はどのような方かと分析しますと、
①当院にて(結果が出る前に)来院されなくなるか、
②人工授精にステップアップされているか
③当院で令和3年以降に妊娠されているか、
④当院から体外受精目的に他院にご紹介しているか、
のいずれかになります。
6回目までのタイミング指導で、妊娠に至らない場合には人工授精へのステップアップをお勧めしています。
従って、妊娠された方を母集団にしますと、6回目までで100パーセントになりますが、3回目までのタイミング指導で妊娠された方を母集団にした約9割の方に結果が出ているので、当院がタイミング指導の治療に対しても真剣に取り組んでいるのがお分かりになると思います。
当然ですが、タイミング指導にはクロミッドやフェマーラおよびゴナドトロピン製剤などの排卵誘発剤を用いた治療が含まれます。
いい状態の卵胞を1つだけ育てて排卵させるには、体外受精で採卵するために複採の卵(=卵胞)を発育させるのとは異なるコツがあります。
大変残念なことに、これまでに勤務していた不妊治療専門施設と比較しますと、患者さまの脱落が非常に早いです。
半年から1年くらいは継続して通院していただけましたら、もっと結果を出せると考えています。
人工授精の統計については、人工授精で妊娠された数を人工授精を施行した回数で割った妊娠率が前年の約12パーセントから約8パーセントに減少しています。
この理由は、他の不妊治療専門施設(=他院)で人工授精をして結果が出なかった方だけでなく、他院にて複数回体外受精を試みられて、残念ながら結果が出なかったため、治療のステップダウンを目的に当院を通院される方が増えておりまして、その結果、全体での妊娠率が減っている結果となっています。
一方、他院(=他の不妊治療専門施設)での体外受精で結果が出なかった方で当院に通院され、人工授精で妊娠された方もいらっしゃり、また、1人目は他院での体外受精での妊娠でしたが、2人目は当院での人工授精で結果が出た患者さまも複数名いらっしゃいます。
不妊治療の教科書には、母集団にもよりますが、人工授精の妊娠率はおおむね8から9パーセントと記載があるので、当院の妊娠率はほぼ不妊治療を専門的に実践している施設と同じレベルは維持していると言えます。
なお、人工授精による治療をされた患者さまの2割の方が妊娠されています。
こちらも、脱落が非常に早く、6回くらい人工授精をするチャンスを頂けましたら、もっと結果が出せると思います。
一般不妊治療しかしていないクリニックでHPに治療成績をあげているところは少ないと思います。
子宮鏡の導入に伴って、着床障害、子宮内膜ポリープ、慢性子宮内膜炎の患者さまが増えてきました。
漫然と治療をするのではなく、治療成績を少しでもあげるように、スタッフ一同、精一杯努力してまいりたいと思います。
これからもまつみレディースクリニック三田をどうぞよろしくお願い申し上げます。