28日月曜日は、港区三田地区医師会の講演会(27会)でした。
今年はコロナ禍が続き、ずっと会合や会食は禁止。
従いまして、港区医師会館やあるいはWEBなどで開催された講演会(27会)は、これまで皆勤賞でしたが、ブログやFacebookの投稿は控えてきました。
今回は緊急事態宣言も終わりましたので、久しぶりに27会で学んだ内容を紹介させていただきます。
特別講演は国際医療福祉大学三田病院の糖尿病・代謝・内分泌内科部長の坂本昌也教授で、座長はいつも医師会で大変お世話になっている安田淳先生でした。
安田先生は坂本昌也教授と同じく、東京慈恵会医科大学ご出身です。
外来が長引きまして、タクシーにて麻布十番の医師会館に向かいましたが、いつもの通り大幅遅刻。
ご講演は糖尿病と心不全についての話や血糖をコントロールする作用のあるインクレチンというホルモンの話など幅広かったですが、わかりやすい話題をご紹介すると、以下になります。
糖尿病には4つのリスク因子が有名で、
A:HbA1c(ヘモグロビンという赤血球の色素の成分)
B:Blood Pressure(血圧)
C:Cholestrol(コレステロール)
O:Obesity(肥満)
ABCが高くて、肥満(O)がある方は、約30倍に発病頻度が上昇します。
あるいはOをS(Smoking:喫煙)に変えてもほぼ同じで、ABCが高くて、喫煙(S)がある方もほぼ同じ程度に発病頻度が上がります。
生体の血糖降下メカニズムにはインスリン以外に、食事の摂取に伴い消化管から分泌されるインクレチンというホルモンも関与しています。
インクレチンはインスリン分泌を増強することが知られていますが、代表的なインクレチンであるGLP-1(Glucagon-like peptide-1:グルカゴン様ペプチド-1) は、小腸(の下部)から分泌されます。
このホルモンは膵臓(の膵β細胞)で血糖を下げる作用があるインスリンの分泌を促進します。
また、このホルモンは膵臓(の膵α細胞)で血糖をコントロールしているグルカゴンというホルモンの分泌を抑制し、さらに、中枢では摂食を抑制する作用があります。
インクレチンに関連した作用機序をもつ糖尿病治療薬(いわゆるインクレチン関連薬)が開発されて、インクレチンを分解する酵素(dipeptidyl peptidase-4;DPP-4)の作用を選択的に阻害する「DPP-4阻害薬」や、GLP-1の受容体に作用する「GLP-1受容体作動薬」も治療に使われるようになりました。
糖尿病の治療薬にはこのほかに、「SGLT2阻害薬」や「メトホルミン」なども知られます。
かつて、メトホルミンが多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療によく使われることもありました。
坂本教授に多嚢胞性卵巣症候群と糖尿病治療薬について質問してみたところ、わかりやすくご回答を頂きまして、講演会終了後に自己紹介もさせていただきました。
今後は三田病院の糖尿病代謝内科坂本教授にも患者さまをご紹介できそうで、麻布十番から三田まで帰りはテクテクとテクシー。
途中、寄り道するとダークブラウンの国際医療福祉大学三田病院の建物の救急入口には煌々と明かりがついていました。
さて、当院のブログにはキーワード検索機能が追加されました。
糖代謝異常についてもいくつか関連するブログがあります。
お時間のある方は、「Diet」「糖尿病」「肥満」「ダイエット」などのキーワードで検索してみてください。
SGLT2阻害薬についても、また、機会があればわかりやすく解説してみたいと思います。