先日は第3回日本不育症学会のWEB講演会に参加しました。
今回はその参加報告です。
教育講演(1)「原因不明不育症の治療の変遷」は手稲渓仁会病院の山田秀人先生によるご講演でした。
以下ご講演の内容を解説します。
不育症の半数以上は、その原因やリスク因子が不明です。
これまでに、原因不明不育症患者を救うために様々な治療が約40年間試みられてきました。
その治療は1981年Taylorらが始めた夫(同種)リンパ球免疫療法が最初のものになります。
①夫(同種)リンパ球免疫療法以外にも、②グルココルチコイド、③低用量アスピリン単独療法、④へパリン単独療法、⑤低用量アスピリン・へパリン併用療法、さらに⑥プロゲステロン腟錠などが、原因不明不育症患者に対して投与され、また治療法として行われてきました。
今回のご講演では、論文を多数引用して、それぞれの治療法や薬剤の有効性の有無についてエビデンスに基づいて詳しく解説されていました。
さらに、⑦ピシバニールや⑧タクロリムス⑨イントラリピッドなどの薬剤についても論文に基づいて有効性の有無をお話されました。
これらの薬剤や治療法の有効性について、詳細を知りたい方は当院不育症外来を受診して下さい。
原因不明の不育症の治療については、まだ、症例がすくないこともあり、その治療については不確定なところもありますが、日本不育症学会の教育講演に基づいた正しい見解をお伝えしたいと思います。
ちなみに、夫(同種)リンパ球免疫療法の有効性はほぼ否定されました。
逆に、2014年から日本で始まった難治例への妊娠初期免疫グロブリン大量投与の有効性は認められています。
また、原因不明不育症を治療するためには原因を解明することも必要で、ご講演の後半は、原因を解明するための新しい検査の解説でした。
後半部分は、また次の機会にわかりやすく解説したいと思います。
講演の最後のスライドの山田先生からのメッセージ
「検証と革新の力、そして継続」
医療はサイエンスに基づく知識や技術を提供する活動であることを再認識いたしました。
サイエンスは常に進歩します。
まつみレディースクリニック三田では不育症・着床障害の診断と治療に焦点をあてた診療を強化していく計画です。
新しい知見を学ぶ姿勢を忘れないようにしたいものです。