先日、川名尚先生のことをブログで書きまして、性器ヘルペスの原因であるヘルペスウィルスについて勉強をしていたところ、
東京大学医科学研究所の川口寧教授、丸鶴雄平研究員らの研究グループがヘルペスが何度も再発する仕組みの一端を解明されている論文を見つけました。
再発を繰り返すことが大きな特徴である単純ヘルペスウイルス(HSV)が、ヒトの体内で何度も増殖し症状がでるためには、ヒトの生体防御反応である多様な免疫応答から逃れる必要があります。そのために、HSVはさまざまな手段を用いて免疫応答を回避しています。
これらHSVの免疫回避機構を解明することはHSVの病態の理解や制御法の開発において非常に重要な知見となります。
東京大学医科学研究所の研究グループは、生体内でのウイルス増殖に重要なHSVの新しい免疫回避機構を発見し、それを司るウイルスタンパク質としてVP22を同定しました。
VP22はAIM2(刺激に対する受容体の一つです。)と結合し、その多量体化を抑制します。この後の話は難しいので省きます。
この研究成果によって、HSVが宿主(ヒト)の免疫応答から逃れる新しい分子メカニズムが解明され、ウイルス病態が何度も再発する仕組みの一端が明らかになりました。
明らかになった分子メカニズムを標的(=ターゲット)としたHSV感染症の新しい治療法の開発につながることが期待されます。