1月より当院でも妊娠初期胎児超音波スクリーニング検査(妊娠初期胎児ドック)を開始しました。
また、これに伴いまして1月より精密超音波外来(胎児ドック)は、隔週の金曜日夕方に山王病院の中山医師が担当しています。
おかげさまで、精密超音波外来(胎児ドック)のご予約はキャンセル待ちおよび診療時間の延長となることが多くなってきました。
※中山敏男医師(東京医科大学卒、山王病院産婦人科部長・国際医療福祉大学臨床医学研究センター 准教授:日本超音波医学会指導医・専門医、日本産科婦人科学会指導医・専門医、日本胎児心臓病医学会胎児エコー専門医、FMF認定超音波専門医:Fetal Medication Foundation NT Certification、日本乳がん検診機構乳房超音波専門医)
さて、出生前診断で最も異常がみつかる頻度が高い染色体異常は、ダウン症(21トリソミー)でこれは21番染色体が3本ある染色体異常です。
18トリソミー、13トリソミーは21トリソミーに次いで、2番目、3番目に多く見られる染色体異常です。
妊娠11週から妊娠13週における18トリソミーおよび13トリソミーの頻度は、21トリソミーのそれぞれ2.5分の1および7分の1程度です。
出生前診断には大きく分けて、非確定検査と確定検査がありますが、そのうちの非確定検査のひとつにコンバインド検査があります。
コンバインド検査とは、胎児ドックの中で①超音波スクリーニングによる超音波所見(胎児の首の後ろのむくみ、心拍数、心臓内外の血流計測など)と②母体血液中(正確には医学的には血清中)のたんぱく質を測定し、③母体年齢も考慮して、13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーの鑑別診断を行う検査です。
これまでは、ダウン症(21トリソミー)は、妊娠中期にクワトロ検査といって、母体血液中の4つのタンパク質(hCGまたはfree β-hCG、 AFP、不飽和エストロゲン、インヒビンA)の値を組み合わせた血液検査を行うことで、スクリーニングされてきました。
ちなみに、クワトロ(スペイン語:cuatro、ポルトガル語:quatro)とは、数字の「4」を意味します。
妊娠初期に行われるコンバインド検査では、超音波検査で得られる所見(首のうしろのむくみや心拍数および心臓の血管の血流など)と母体血液中の胎盤から産生されるタンパク質(free β-hCGおよびPAPP-A)を組み合わせたスクリーニングを行うことで、21トリソミーをクワトロ検査よりも早期に検出することができます。
染色体の数の異常である、18トリソミー(18番染色体が3本ある染色体異常)および13トリソミー(13番染色体が3本ある染色体異常)は、胎児の首の後ろのむくみとともに母体血清中free β-hCGおよびPAPP-Aの低下という類似した特徴を示します。
胎児心拍数はこの2つの染色体異常を見分けるために重要な項目です。
次回から6回のシリーズ解説の後半に入ります。
妊娠初期胎児ドック、ご興味のある方はメールにてお問い合わせください。
お知らせにある通り、4月からは胎児ドックは隔週の月曜日午前(1130-1300)に藤井医師も診療に加わります。
藤井達也医師は出生前診断が専門で、当院と東京大学産婦人科、山王病院産婦人科、聖路加国際病院女性総合診療部との共同発表の共著者でもあります。
Successful prenatal genetic diagnosis for a pregnant woman with a history of repetitive pregnancies with chromosome 7-involving abnormalities.
Hirotaka Matsumi, Takeshi Nagamatsu, Tatsuya Fujii, Mikio Momoeda, Tomoyuki Fujii.
the 27th Asia Oceania Federation of Obstetrics and Gynecology, バリ(インドネシア)、 2022年 5月(in submission)
1.Hirotaka Matsumi, 2.Takeshi Nagamatsu, 2.Tatsuya Fujii, 3.Mikio Momoeda, 4.Tomoyuki Fujii.
1.MATSUMI Ladies Clinic Mita, Tokyo, Japan
2. Department of Obstetrics and Gynecology, Faculty of Medicine, The University of Tokyo, Tokyo, Japan
3. Department of Integrated Women’s Health, St. Luke’s International Hospital, Tokyo, Japan
4. Department of Obstetrics and Gynecology, Sanno Hospital, International University of Health and Welfare, Tokyo, Japan
※当院HP業績の項目より抜粋
藤井医師は、東京大学産婦人科周産期チームにおいて胎児ドックに必須のトレーニングを受け、港区や渋谷区で妊娠初期胎児ドックの診療を展開している他院の医師と同等の資格(FMF認定超音波専門医)を保持しており、十分に豊富な経験がありますので、月曜日午前の妊娠初期胎児ドックのご予約も宜しくお願い致します。
※藤井達也医師(東京大学卒、東京大学医学博士、東京大学産婦人科助教、FMF認定超音波専門医:Fetal Medication Foundation NT Certification)