こんにちは。看護部スタッフです。
先日院長と一緒に出席させていただきました東京大学周産期Web研究会について、前編では分娩誘発から妊娠分娩管理について紹介させていただきました。
今回は、後編として、骨盤位(逆子)の外回転術と分娩時の会陰裂傷についてお話します。
まずは骨盤位(逆子)の外回転術についてです。
骨盤位とは一般的に逆子とも呼ばれる状態を指し、赤ちゃんのお腹の中での姿勢がお尻を下向きに座っているような状態のことです。
こういった骨盤位のケースでは、一般的には予定帝王切開となることが多いのですが、今回議題にも挙げられている外回転術では、妊娠期にお腹を触って児の向きを回転させ、頭が下向きになるようにする方法のことを言います。
ガイドライン上でこの外回転術の実施に関しては緊急帝王切開が可能であること、帝王切開既往がないこと、児が成熟していることが要件です。
都内の病院では骨盤位の場合ほとんどは予定帝王切開を選択しており、外回転術については実施されている病院はまだまだ少ないような印象です。
外回転術を実施している病院では、ガイドラインの要件を満たしている妊婦さんに対してお腹の張りが起こらないように麻酔をかけながら筋肉を緩めて行い、リトドリンと呼ばれる子宮収縮抑制剤を使用しながら行うことが多いようです。
次は、分娩時の会陰裂傷についてです。
出産時には会陰の裂傷は初産の方にはよくあることですが、その傷の深さから4つの分類に大きく分けられています。
その中でも1番傷が深いとされるⅣ度裂傷についての講演がありました。
このⅣ度裂傷のリスク群として挙げられるのは、高齢、初産婦、正中切開(分娩時の会陰裂傷を少なくするための切れ込みを縦にまっすぐ入れること)、吸引分娩などです。
裂傷部位に関しては少しの傷であれば経過観察としますが、多くで縫合(修復)を行います。
Ⅳ度裂傷の場合肛門までの深い傷になっているため修復の方法は難しく、また麻酔をかけた状態での手術になる場合も見受けられます。
出産にはたくさんのエピソードがあります。
またそれは出産に限らず妊娠期からそうなのかもしれません。
何よりも1人でも多くの方々が母児ともに健康に出産を終えられるように努めるのが私たち周産期の医療従事者に求められるものにもなります。
皆さまにとって妊娠・出産に関してのご参考になればと思います。