「乗り越えられない壁はない。」
2020年の東京五輪で金メダルも期待されていた水泳界のエースが病に負けない強い気持ちを伝えた言葉です。
その病とは、「白血病」。
正確には急性白血病で抗がん剤による治療(化学療法)が一般的です。
血液中を循環する血液細胞には白血球、赤血球、血小板の3種類がありますが、これらの細胞は骨の中に存在する「骨髄」と呼ばれる組織で造血幹細胞からつくられています。難しくいうと「造血幹細胞」は、成熟して(=分化して)、白血球、赤血球、血小板といった細胞になります。造血幹細胞は、自分自身を複製することができます。
(幹細胞の特徴は、①自己複製と②分化する能力があることです。)
急性白血病は、造血幹細胞が悪性腫瘍へと変貌することによって発症しますが、造血幹細胞のなかでもどの段階で悪性腫瘍になったかによって、急性リンパ性白血病や急性骨髄性白血病などに分類されます。
抗がん剤が効かない場合や再発を起こした場合は、骨髄移植(=造血幹細胞移植)が選択されます。
血液中の赤血球にABO式で示される血液型があるように、白血球にもHLA(ヒト白血球型抗原、Human Leukocyte Antigen; HLA)という型があり、骨髄移植を成功させるためには患者さんと提供者(ドナー)の血液の型が合わせる必要があります。
現在3000人程度の患者さんが骨髄移植を希望しています。