久しぶりに会場まで足を運んだ第156回関東生殖医学会の学会参加報告の続編です。
学会長は都立墨東病院産婦人科の久具宏司部長でした。
一般演題の中からは、帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科の遠藤美波先生が演者の「子宮鏡下中隔切除術後に挙児を得た完全子宮腟中隔合併不妊の一例」をポイント解説したいと思います。
座長は都立墨東病院の兵藤博信部長でした。
子宮腟中隔は子宮形態異常の一つです。
子宮形態異常は先天性のいわゆる重複子宮、双角子宮、中隔子宮、単角子宮などの子宮奇形と子宮粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープなどの後天的な子宮内隆起病変に分かれます。
先天的な奇形は発生の過程で生じます。
膣や子宮は胎児期において「ミュラー管」と呼ばれる器官から形成されます。
ミュラー管は左右に一本ずつ存在する別々の管で、胎児が大きくなる過程においてそれぞれ融合します。
その結果、ひとつの空間を持つ子宮および筒状の膣が形作られます。
この融合過程に異常が生じると、重複子宮、双角子宮、中隔子宮、単角子宮などの病気になります。
これらの子宮形態異常の場合には、子宮の左右のバランスが異なり、子宮の片側が大きくなることが多く認めます。
先天性子宮奇形の中でも、特に、中隔子宮は流産率が高く、流産を繰り返す場合は手術療法の対象になります。
子宮鏡下中隔切除術は子宮鏡による手術で子宮内に細いカメラ(子宮鏡)を挿入し、子宮内腔を観察しながら中隔を電気メスで切除する方法です。
今回の症例では、タイミング療法による妊娠の機会を増やすために、まず、膣中隔を切除、続き、子宮鏡下に中隔切除を行いました。
年齢も若く、体外受精胚移植で妊娠に至らなかったものの最終的にタイミング療法で妊娠が成立しておりまして、手術が効果的であった症例でした。
遠藤先生は、わたしのフロアーからの質問にも、丁寧に回答してくださり、大変頼もしかったです。
以前に勤務していたこともあり当院と連携の強い帝京大学溝口病院ですが、同級生の藤本准教授はじめ、松山講師、西井教授にもご挨拶できまして大変有意義な学会参加となりました、
東京スカイツリーで有名な墨田区ですが、曳舟駅は都営浅草線押上から京成線で直通していまして、三田からは25分。
近いです。