22日の日曜日は東京都医師会館において母体保護法指定医師研修会に出席してきました。
現在、人工妊娠中絶は、主に、妊娠初期のMVA法や掻爬法による人工妊娠中絶手術や妊娠中期のゲメプロスト膣座薬によるものが日本では行われております。
近く、妊娠9週までは、現在治験が終了した経口避妊薬(ミフェプリストンとミソプロストール)による人工妊娠中絶も行えるようになります。
さて、演題は以下の3つがありました。
1.「母体保護法の趣旨と適正な運用に関するもの」、演者は東京都医師会理事の落合和彦先生。
2. 生命倫理に関するもの「初期人工妊娠中絶を安全に行うには」、演者は日本産婦人科医会幹事長の石谷健先生。
3. 医療安全に関するもの「流産と中絶のグリーフケア」、演者は日本産婦人科医会常務理事の相良洋子先生。
この中で、今回は相良洋子先生の「流産と中絶のグリーフケア」についてポイント解説したいと思います。
グリーフとは日本語で「悲嘆」と訳します。
近親者との死別・別離をはじめとして、さまざまな愛情や依存の対象を喪失した際に生じる反応を悲嘆(grief:グリーフ)といいます。
悲嘆とは単に嘆き悲しみ、気分が落ち込むといった精神的な要素だけを指しているのではありません。
眠れない、食欲がないなど身体のバランスを崩すこともあり、身体的な反応、日常生活や行動の変化を含んでいます。
相良先生はわかりやすいスライドを用いて、アカデミックに数多くの学術論文を紹介してくださいました。
流産、死産を経験された方と人工妊娠中絶を経験された方とは、その後のうつ、不安障害、適応障害とPTSDになる頻度やその後の疾病の長期的な経過(予後)が異なるとのことです。
今後、新型出生前診断(NIPT)も身近な検査になってくるかと思います。
ピアサポートと呼ばれる心理的なケアの部分もこれから充実させていきたいものです。