ニュースで足の血管を再生することが可能な遺伝子治療薬が承認されたとの話がありました。
糖尿病などで、動脈の血管が硬く細くなり(=動脈硬化)、血液の流れが悪くなった患者さんに対しては、手術で側副血行路(血流のバイパス)を作ることがあります。
この薬は、わかりやすくいうと血管を太くする遺伝子治療薬です。
遺伝子治療薬とは遺伝子を直接体内に入れて働かせる次世代の治療薬のことをいいます。
正確にお伝えすると、この薬剤はヒトのHGF遺伝子を組み込んだ「プラスミドDNS構造(環状二本鎖DNA」を有します。
このあたりの話は、難しいので、また、今度。
HGF:hepatocyte growth factorというのは肝臓の細胞を増殖する因子(タンパク質)で血管新生作用があります。
HGFには、①細胞増殖②運動促進③形態変化促進④細胞死(アポトーシス)抑制(mitogenic, motogenic, morphogenic, and antiapoptotic activities)の作用があります。
ちなみに、c-metという受容体を介して作用が現れます。
子宮内膜や卵巣の細胞もこの増殖因子の作用により増殖します。
肝臓は肝移植で有名ですが、切除すると再生する増殖能が強い臓器です。
卵巣も子宮内膜も、月経周期により増殖を繰り返します。
肝臓と生殖臓器(子宮、卵巣)、遠いようですが似ている性質があります。