6月27日の月曜日は港区医師会三田地区講演会(27会)でした。
いつもは外来が終わり、タクシーにて大幅遅刻なのですが、新年度第1回ということで外来診療を大幅に制限しまして、麻布十番へ。
幸い、会場には先生方はまだ誰もいらっしゃいませんでした。
さて、講演会は「脳卒中から神経免疫疾患まで」という演題名で、東京慈恵会医科大学脳神経内科准教授の三村秀毅先生のご講演でした。
座長は同じ東京慈恵会医科大学同窓の「たまちホームクリニック」菰池信彦先生です。
今回のご講演は、脳卒中から神経免疫疾患の最新の話題まで幅広く、大変勉強になりました。
講演のあたまは頭痛には一次性頭痛と二次性頭痛があるという話題からでした。
脳卒中「Stroke」は急激な頭痛がその症状ですが、脳の血管が詰まったり破れたりすることによって起きる病気です。
脳卒中を発症すると、障害を受けた部分の脳により制御を受けていた身体機能や言語機能が失われたり、場合によっては死に至ることもあります。
繰り返しになりますが、脳の血管が詰まったり(=脳梗塞)、破れたり(=脳出血)することが原因の脳卒中は、早急に(=FAST)重症度を診断して適切な内科的治療またはカテーテルによる外科的治療を行う必要があります。
東京慈恵会医科大学ではJOINというオンラインでMRI画像を共有することができるシステムを構築したため、SCU(Stroke Care Unit)で働く医師の労働時間の短縮のみでなく、脳卒中の治療をよりFASTにできるようになったとのことでした。
さて、頭痛以外にも、神経内科が扱う病気の症状としては、ふらつき、しびれなどがあげられます。
アルコールを摂取することによってふらつくこともありますが、このふらつきの脳神経内科の代表的な疾患はパーキンソン病で、これは変性疾患に分類されます。
しびれには心因性のものもありますが、一般的には神経の障害により起こります。
神経の障害は末梢神経障害と脊髄の(=中枢神経)障害に分けられます。
末梢神経障では、整形外科領域の手根管症候群という手首を通る神経が炎症を起こす病気が有名です。
中枢神経障害が原因で起きる多発性硬化症や重症筋無力症は神経(=中枢神経)の免疫システムの異常が病気の原因で、こちらは脳神経内科が領域です。
多発性硬化症は脳や視神経、脊髄に炎症が生じることで、1日~数日の経過で症状が起こります。
重症筋無力症は夕方になるとまぶたが下がってきて、物も二重に見えるというのが典型的な症状です。
重症筋無力症の大多数は神経筋接合部のアセチルコリン受容体に対する抗体により起こります。
ともに自己免疫性疾患のため、治療は免疫を抑えるためにステロイドや他の免疫抑制剤を用います。
急性期にはステロイドの点滴投与を行います。
重症例では血漿交換や、炎症に関わるタンパク質(=サイトカイン)を制御する(=抑制する)薬物治療を行います。
話がかなり長くなってしまったので、続きは7月1日のブログ(後編)をお待ちください。