建国記念日は朝からみぞれ・雪が降りましたが、院長先生と一緒に事務仕事でした。
都内の冷え込みも厳しくなってきて、雪の降る日も増えてきております。
くれぐれもお体にはお気を付けください。
また、降雪による交通機関の乱れも予想されますので、夜ご帰宅の際は十分にご注意ください。
さて、気温の変化により、身近な物質の形が変化するということは皆様も経験があると思います。
例えば、夏の暑さによって車のタイヤや線路が熱膨張し変形します。
このように形を変える物質は身近にたくさん存在します。
ところで物質の中には、熱により形のみならず性質も変化する物質が存在します。
それは食事、筋トレや来院時によく耳にするタンパク質です。
そこで、今回のブログでは「タンパク質の熱変性」についてご紹介します。
タンパク質は20種類のアミノ酸が結合した物質であり、その結合も直線的にではなく立体的構造を形成するようになされています。
立体構造をとることにより、物質の安定性を保っています。
しかし、この立体構造はいかなる条件下でも維持されるわけではありません。
タンパク質に熱や酸・アルカリ等の外的作用を加えると、この構造は破壊されタンパク質の性質が変化します。
これを「タンパク質の変性」といいます。
タンパク質の立体構造が破壊されると、立体構造の中で守られていた「凝集」が起こります。
凝集とは、安定性を失った粒子が集まってより大きな集合体になる現象です。
タンパク質の立体構造から外れた粒子が凝集した結果、アミロイド線維が形成されることがあります。
アミロイド線維は、不溶性の線維です。
このアミロイド繊維は、アルツハイマー病やパーキンソン病の病因ともいわれます。
なぜなら、ホルモンや酵素の役割を担うタンパク質が変性してしまうと、体の機能の調節が正常に行えなくなるためです。
また、変性したタンパク質が体内に残り続けると体に負荷がかかり、細胞が破壊されることが病因になる場合もあります。
パーキンソン病については、私の祖父が抱える病気でもあるのですが、神経伝達物質の異常や減少により筋肉の働きが滞り体を動かすことが困難になるという症状があります。
体の機能のほとんどは神経伝達物質の働きで成り立っており、これが滞ると物がうまく呑み込めなくなる嚥下障害や手の震えといった日常生活の様々な障害を来します。
このようにタンパク質の変性は難病といわれる病気群の原因となりえます。
これらの病気の発症を防止するためにも、できることがあるのであれば若いうちから対処しておきたいところです。
では、なにか私たちができる対処はあるのでしょうか。
タンパク質の変性が起こる原因は熱、凍結・融解、圧力等の物理的要因や、酸・アルカリ、尿素、有機溶媒、界面活性剤、重金属溶液等の化学的要因の他にも、これらの要因を複合的に作出させる、ストレスや生活習慣など様々だと言われています。
従って、体内のタンパク質の変性を起こさないために、バランスの取れた食事、適度な睡眠やストレスの少ない生活を送ることは重要であるといえます。
以上、今回のブログではタンパク質の変性についてご紹介しました。
このブログを通じて、このような現象の存在のみならず、ご自身の生活習慣が様々な化学物質を生んでおり病因となる可能性があることを知っていただけたら幸いです。
皆様、年度の変わり目に差し掛かりお忙しいとは思われますが、ご自身をいたわり無理をなさらぬようにお過ごしください。