当院で世界に先駆けて行っていたネオセルフ抗体の研究成果について、シリーズで報告しています。
4日は日曜日、月初めの仕事をしにクリニックに行く途中、3日の土曜日に愛育病院で当直されて、当直明けの山下副院長先生に偶然お会いしました。
愛育病院に初めてご挨拶に伺ったときに、
「田町駅にはオフィスビルの建設計画があって、この界隈はこれからますます良くなるから。」
「落ち着いたら、美味しいラーメンを食べに行きましょう。」
と、おっしゃっていたのが思い出されます。
さて、4回目では【考察】の前半部分を紹介します。
ネオセルフ抗体検査の有効性について
〇松見泰宇1、藤井達也1、百枝幹雄2
まつみレディースクリニック三田1、母子愛育会総合母子保健センター愛育病院2
【考察】
近年、MHCクラスⅡ分子に提示されたミスフォールド蛋白質が自己抗体の標的となっていることが明らかとなった。
さらに、特定の抗原に対する免疫応答では、ペプチド/MHCクラスⅡ分子複合体に対する抗体が産生され、T細胞の抗原認識を阻害し、T細胞応答を抗原特異的に抑制することが判明した。
我々はこれまでにβ2GPIネオセルフ抗体が従来の抗リン脂質抗体で陰性の不育症患者においても凝固亢進状態を検出することを発表してきた。
不育症の原因として、子宮形態異常、甲状腺機能異常、免疫異常、及び凝固第12因子低下、プロテインS低下、プロテインC低下や抗リン脂質抗体陽性による凝固異常などのリスク因子がある。
止血機構において、凝固因子が協力して凝血塊を形成するのに必要なフィブリンを産生するまでの一連の流れを凝血・凝固カスケードと呼ぶ。
凝固活性を反映する主要な凝固系分子マーカーであるトロンビンはフィブリノゲンや凝固第V・VII・IX因子を活性化させてフィブリン生成へと導く。
トロンビン・アンチトロンビンⅢ複合体(Thrombin-antithrombin Ⅲ complex:TAT)はトロンビンとアンチトロンビンが1:1で結合したもので、間接的に血中トロンビン産生量を示す。
TATは播種性血管内凝固症候群(DIC)、深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症などの広範な血栓症、肝硬変などの凝固亢進状態で上昇する。
この度の検討において、流産歴のある患者においては、β2GPIネオセルフ抗体が陰性(cutoff値:73.3U/ml)の場合でも抗体価はTAT濃度と有意な相関があることが認められた。
長くなりましたので、後半は日本産婦人科学会東京地方部会会誌(5)でお伝えします。
すっかり駅ビルも完成しまして、光陰やの如しです。
5日は、東京大学産婦人科廣田泰教授の祝賀会です。
同窓会長の大須賀先生はじめ、クリニックの運営を手伝ってくれた先生方と楽しい話ができるといいなあ。