世界に先駆けて当院で研究していたネオセルフ抗体検査の日本語論文をシリーズで報告しています。
9月6日付けで英語論文「Evidence for Correlation between Novel Autoantibody against Phospholipid Named Neoself Anti-β2GPI/HLA-DR Antibody and Complement Consumption in Infertile Patients」の方もOn line Journal にて米国の学術誌にPublishされました。
こちらは、ネオセルフ抗体と凝固ではなく、炎症と関係している補体というたんぱく質との相関関係を調べた論文です。
研究を開始した2020年からおよそ3年、常勤スタッフが予告なく一気に4名から1名になり、4か月常勤スタッフ1名と学生インターンスタッフでクリニックを運営するというアクシデントもありましたが、無事、世界に向けて発表出来たのを大変うれしく思います。
2022年11月の生殖免疫学会での口頭発表のあと、英文論文をシングルオーサーで発表することに決め、主に12月から2023年の年末年始に執筆しておりましたが、ここまで応援してくれた皆さまには深く感謝しております。
【考察】の続きからです。
今回86.3 U/ml以上を外れ値の上限と設定したが、ネオセルフ抗体価が特に高い症例は、抗TPO抗体やサイログロブリン抗体陽性の橋本病の症例や慢性子宮内膜炎などの臨床症状を認める症例あるいは反復化学流産既往の症例であった。
また、NK細胞活性やTh1/2 比高値の免疫異常やCH50やC3、C4などの補体が消費されている症例が目立った。
最後に、ネオセルフ抗体検査の有効性について、わかりやすくお示しするため、この検査が挙児を得るために憂苦であった症例の報告をしていますが、そちらは今回のシリーズ報告では割愛させていただきます。
【結論】
今回の研究より、β2GPIネオセルフ抗体は、着床障害を有する患者において早期凝固カスケードを検出することに有用であると考えられた。
今後、補体系との相関関係なども詳しく検討する予定である。
【利益相反状態】
利益相反状態の開示
筆頭演者氏名:松見泰宇
所属:まつみレディースクリニック三田
開示すべき利益相反状態はありません。
第404回東京産婦人科学会例会で発表した。
【謝辞】
今回、第404回東京産科婦人科学会で発表の機会を与えてくださいました東京大学医学部産科婦人科学講座大須賀穣教授、また、座長をしてくださいました、東京大学宮本雄一郎先生に厚く御礼申し上げます。