第51回日本臨床免疫学会 (3) :サイトカインプロファイルに応じた潰瘍性大腸炎の治療|まつみレディースクリニック|港区・田町・浜松町の産科・婦人科・不妊|女医在籍

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第51回日本臨床免疫学会 (3) :サイトカインプロファイルに応じた潰瘍性大腸炎の治療

第51回日本臨床免疫学会 (3) :サイトカインプロファイルに応じた潰瘍性大腸炎の治療|まつみレディースクリニック|港区・田町・浜松町の産科・婦人科・不妊|女医在籍

シリーズで紹介している日本臨床免疫学会の参加報告の第3回は、潰瘍性大腸炎についての話です。

第51回日本臨床免疫学会での、着床不全不妊症および不育症における自己免疫についての当院の先端的な発表については限定して院内にもポスター掲示する予定です。

興味のある方は、クリニックにもいらしてみてください。

 

日本臨床免疫学会はこれまでの産婦人科に限定したが学会とは異なり、すべての臓器や疾患におよぶ横断的な学会です。

繰り返しになりますが、シリーズ第3回は潰瘍性大腸炎という消化器内科領域のセミナーについてのポイント解説になります。

 

「サイトカインプロファイルに合わせた潰瘍性大腸炎の治療戦略」という発表をされた浜松医科大学内科学第一講座の杉本先生は講演後の質問に対しても丁寧にご回答くださいました。

ありがとうございました。

 

このように実際に対面の学会に参加すると、著名な先生方に講演で消化できなかった疑問点についても講演後にすぐ個別に質問することにより、顔を見ながらゆっくり時間を取って回答していただけるという大きなメリットがあります。

 

潰瘍性大腸炎の治療には、病状が軽い例ではステロイドなどが用いられています。

一方、ステロイド抵抗性の難治性潰瘍性大腸炎の治療には生物学的製剤をはじめとした多くの薬剤のなかから適したものを選択する必要があります。

 

このようなさまざまな潰瘍性大腸炎の治療薬にはサイトカインやサイトカインを制御している物質をターゲットにしているものが多く、現状では薬剤ををどのような順番で使うのかという明確な指針がないということが問題です。

言い換えると、潰瘍性大腸炎患者が、それぞれどのようなサイトカインが優位であるのかを知り、それに応じた治療薬を選別して用いる必要があります。

 

ちなみに、複数のサイトカインの中のどのようなサイトカインが優位であるかを調べることをサイトカインプロファイル解析といいます。

「サイトカインプロファイル解析」、、、難しい単語で申し訳ないです。

 

サイトカインという単語はブログにも何度も出てきますが、生体内において細胞の増殖、分化、遊走(=細胞の移動)など多彩な機能をもち、生体の恒常性が保たれるように炎症を制御する主にタンパク質のことをいいます。

 

炎症性疾患では、過剰な免疫応答により複数のサイトカインのネットワークによる生体の恒常性維持機構が破綻して様々な炎症性サイトカインの産生が異常に亢進することで、症状が悪化していきます。

繰り返しになりますが、複数のサイトカインのどれが優位にあるかを調べるために、複数のサイトカインを同時に測定するサイトカインプロファイル解析が現在、非常に有用な検査法となっています。

 

長文、お疲れさまです。

難しい単語が複数出てきまして、うまく咀嚼して「消化する」ことができなくなってきたのではないのでしょうか。

 

この講演では、潰瘍性大腸炎治療に用いられるTNFα阻害薬(=抗TNFα製剤)についても紹介されていました。

第51回日本臨床免疫学会のシリーズ報告の最終回では、前回出てきたJAK阻害剤とTNFα阻害薬(=抗TNFα製剤)について解説してみたいと思います。