シリーズで紹介している日本臨床免疫学会の参加報告の第4回です。
今回は、第51回日本臨床免疫学会で当院が発表した着床不全不妊症および不育症における自己免疫についての発表を簡単にご紹介します。
地域医療ととも医療の進歩にも微力ながら貢献したいと思って、クリニックを運営して参りましたが、少しずつそのような方向に進んでいるのをとてもうれしく思います。
ネオセルフ抗体価と補体消費量に関する研究結果を英文論文発表した記念に差し上げている、日本語論文の別刷りも、まだ若干、クリニックに残っています。
こちらの研究成果はネオセルフ抗体検査と凝固系についてのものになります。
ご興味のある方は是非クリニックにいらしてください。
不育症および着床不全不妊症におけるネオセルフ抗体価とNK細胞活性との相関について
まつみレディースクリニック三田
松見泰宇
【目的】
我々は不育症や着床不全による不妊症においてネオセルフ抗体価が凝固亢進を反映することを報告してきた。
今回は免疫に関与する補体とNK細胞活性との関連を検討した。
【方法】
倫理委員会の承認のもと不育症・着床不全による不妊症女性を中心とした計102名に対して、ネオセルフ抗体の血清抗体価を測定した。補体およびCRPの血清中濃度とNK細胞活性度を測定し、免疫状態を評価した。
これらのバイオマーカーとネオセルフ抗体価との相関を解析した。
なお、母集団におけるネオセルフ抗体価の分布から外れ値の症例は棄却し、急性炎症状態にある症例も除いた。
【成績】
母集団における血清ネオセルフ抗体価の外れ値である 200U/ml 以上のものは3名であった。
102名から急性炎症状態と考えられる症例及びネオセルフ抗体価が外れ値の症例を除いた98名において、補体との検討では補体の濃度はネオセルフ抗体価が高いほど有意に低下していた。
また、ネオセルフ抗体価が陽性(カットオフ 73.3U/ml)の症例では、ネオセルフ抗体価が高いほど、NK細胞活性度も上昇した。
【結論】
ネオセルフ抗体価は不育・着床不全不妊症の患者において、補体消費量およびNK細胞の活性度と正の相関があり、自己免疫による病態に関与することが示唆された。
今回の発表内容は院内にも限定してポスター掲示しております。
NK細胞活性が高くても、イントラリピッド療法により妊娠に至る症例が増えてきています。
イントラリピッド療法の臨床研究成果についても、学会発表する準備を少しずつ進めています。
患者様におかれましては、臨床研究にご協力をいただきますように、何卒、宜しくお願いいたします。