3月になり暖かくなってきました。
クリニックも徐々に整備されて日常業務もスムーズに行われるようになってきました。
当院は予約制のため全てのカルテを原則的に前日までに予習するシステムです。
受付/医療事務は医療の知識がない状態からのスタートでしたが、簡単なカルテも作れるようになってきました。
眩しい光と一緒に気持ちも新たに、ブログや研究活動も少しずつ再開したいものです。
さて、今回は先日執筆を依頼された不育症についての監修記事の一部を抜粋してわかりやすく解説したいと思います。
今回の監修記事は編集部の方とのQ&A形式になっています。
編集部:不育症の原因はなんですか?
原因はさまざまに考えられますが、病態と治療法という観点からは「胎児の染色体(つまり、受精卵の遺伝子)に異常がある場合」と「受精卵を受け入れる母体の方に異常がある場合」の大きく2つに分けることができます。
不育症として不育症専門の医師が治療にあたる場合、後者を更に分類すると次のように分けられます。
(1):子宮の形態の異常
以下の3つに分けられる子宮内の環境の異常
(2):内分泌代謝異常
(3):血液凝固異常
(4):免疫の異常
編集部:ということは、不育症の原因は主に4つあるということですか?
この4つというのは病態とその治療法で分類した数え方になります。
厚生労働省の研究班などの資料では、子宮形態異常、甲状腺異常、染色体異常、抗リン脂質抗体陽性、凝固因子異常、リスク因子不明のカテゴリーで分類されています。
抗リン脂質抗体が陽性となる抗リン脂質抗体症候群という病気も、血液が固まりやすいという症状になりますので、抗凝固薬を用いて治療するという点では、血液凝固異常に分類していいと思います。
胎児の染色体に異常が生じるのは、先程述べた母体側(あるいは父親側)の染色体異常に起因します。
染色体異常も全体の5%程度と重要な原因のひとつです。
それ以外のリスク因子不明、つまり原因がよくわからない方の割合も全体の半数程度を占めます。
ですが、不育症は治療によって、妊娠出産に至ることが可能です。
もし妊娠出産を希望する場合には、原因に即した治療法を選択することが必要です。
以下、長くなるので次回に続きます。
明日はホワイトデー、天気も良いようです。