論文は「Real-world experience of women using extended-cycle vs monthly-cycle combined oral contraception in the United States: the National Health and Wellness Survey.」
というタイトルで、Nappi REという著者がアメリカでの臨床研究についてまとめてありました。
ピル(COCP; combined oral contraceptive pill またはCOC; combined oral contraceptives またはOC; oral contraceptives:経口避妊薬)は、これまで毎月1回(28日)内服するタイプのものが主に処方されてきましたが、近年、28日以上(extended-cycle)ホルモンが含有されているピルを内服するタイプのものも処方できるようになってきています。
ちなみに、extended-cycle はcontinuous(持続)という英語表現を使われることもあります。
この論文は1か月を1周期(1サイクル)として内服するタイプのものと新しいタイプのもので、臨床効果の違いを比較していました。
研究の対象となったのは、18歳から50歳のまだ閉経していない女性です。
260人の患者さんが新しい内服方法(extended-cycle)で、3616人の患者さん (全体の93.3%とほとんどです) が従来のタイプでした。
28日タイプのものは、21日は女性ホルモンが入っているお薬(論文中には、active pillsと表現されています)、7日間はホルモンの入っていないお薬を内服しています。(英語の表現は21 active pills, seven placebosです。)
extended-cycle は28日以上女性ホルモンが入っているピルを内服しています。
結果は、
Women using extended-cycle COC reported significantly higher treatment satisfaction (P = 0.001) and adherence (P = 0.04) and reduced heavy menstrual bleeding (P = 0.029).
1か月以上継続して内服する方法の患者さんの方が、有意に①満足度が高く②長い期間服用出来て③過多月経が改善したとありました。
ちなみに、①月経痛②月経に付随する諸症状は、有意差(統計学の用語です)はありませんでしたが、改善する傾向にありました。
まとめますと、結論としては、新しい内服方法(28日以上を1周期とする=低用量ピルを継続して内服し続ける)方法(extended-cycle COC)は、前述した3つの効果があったことから、今後考慮してもよい治療の選択肢(a valuable treatment option)と言えそうです。
論文には「This real-world observational study supports extended-cycle COC as a valuable treatment option with high satisfaction, high adherence, and reduced heavy menstrual bleeding.」と書いてありました。
まつみレディースクリニック三田では、こちらで紹介しました新しいタイプのピルも採用しております。