上野の国立科学博物館で開催されている大哺乳類展にて気分転換してきた話の続きです。
後半の展示は、食べ物の話。
咀嚼と消化・吸収についてでした。
後半の展示の最初のビデオ、「バブルネットフィーディング」というザトウクジラが泡で囲いを作って、その中から魚が逃げられないようにして捕獲する光景はとてもダイナミックでした。
一般的に、食物は、口腔内にて歯で咀嚼されたのち、食道、胃、腸と続く消化管を通っていく過程で消化・吸収されます。
牛(ウシ)はいつも口をモグモグさせているので有名ですが、これは「反芻」といって、牧草は繊維成分が多く消化されにくいので、一度胃袋に入れたあと、もう一度口に戻して別の胃袋に(消化途中の牧草を)送り込んで食べているのです。
このように、ウシには胃が複数存在し、反芻類に属します。
先程登場したクジラは鯨類といって、複数の胃を有しますがウシと異なり反芻はしません。
例えば、アカボウクジラ(赤坊鯨、Ziphius cavirostris)は、前胃(食道胃)と主胃と11個の連携室と幽門胃があります。
ちなみに、ウシと同じ草食動物でも、ウマは単胃(胃が一つ)で、胃で十分な消化ができないかわりに腸が長く、消化吸収は主に腸でなされます。
面白いことに、キリンはウマに似ていますが胃が4つあります(=複胃)。
子供が大人になると、いわゆる「親知らず」という奥歯(臼歯)が生えてきます。
臼歯は、もともとモノをすりつぶす臼に歯の形が似ているのでその名前が付いていますが、ライオンなどの肉食動物では(肉は繊維成分が少なくあまり咀嚼する必要がないので)臼歯よりも裂肉歯が目立っています。
また、アリクイはエサを丸呑みするため、また、コウモリも、血を飲むだけなので臼歯はありません。
そのほか、前編で書き忘れたテナガザルのブラキエーション(腕渡り)、有袋類の育児嚢、成体と幼体(大人と子供のとき)の体の色の違い、などいろいろな話がありますが、「消化不良」になると困るのでこのあたりでおしまいです。