先日は産婦人科医師のための漢方セミナーにお邪魔してきました。
1つ目の演題は「六君子湯の全身的影響について」で東京大学の平池修准教授のご講演でした。
座長は、日本医科大学の竹下俊行教授。
外来終了後、急ぎ研究会の会場のホテルに向かいましたが、、、遅刻です。
六君子湯は、体力が少し落ちている「虚証」の患者さんに有効な胃腸薬(食欲不振、胃炎などに有効な薬)です。
ちなみにこの漢方薬は、悪性腫瘍(=がん)で体力が落ちている患者さんに用いると、食欲が亢進する(=増す)作用があります。
講演では、六君子湯がグレリン(Ghrelin)という食欲増進作用のあるペプチド(=アミノ酸がいくつか繋がった分子のこと)を介して、摂食を促進する(=食欲不振を改善する)ことを東大准教授らしく膨大な基礎的な実験データーの論文から、しかし順序良く、わかりやすくご講演されていました。
ご自身の研究グループの、
グレリン(Ghrelin)が①がん細胞の増殖を抑え、②SIRT1の遺伝子(mRNA:メッセンジャーRNA)と(その遺伝子から作られる)タンパク質の発現(=分泌)を増やす作用がある
という基礎研究の結果も合わせて紹介されていました。
ちなみに、SIRT1というのは、サーチュイン(Sirtuin)というカロリー制限による寿命の延長機構に関与する(=長寿)遺伝子のひとつです。
SIRT1からSIRT6までの6種類のタンパク質がサーチュインのファミリーを構成していまして、老化を抑える物質(=抗老化因子)であるSIRT1が細胞に過剰に発現する(=存在する)ように遺伝子操作した(=トランスジェニック)ネズミは、実際に寿命が延長するとのことでした。
カロリー制限をすると卵巣の中の原始卵胞(卵胞=卵の入っている部屋のこと)の数が増えるという現象におけるグレリンの関与や、脂肪の中に存在するレプチンというホルモンのグレリンに対する作用の話なども大変興味深かったです。
遅れての参加だったので申し訳なく、頑張って会場から質問しましたが、平池先生はご丁寧に説明してくださいまして大変有難かったです。
懇親会でも、更に、ディスカッションできまして理解が深まりました。
ちなみに、グレリン、レプチンというホルモンについては、折角なので次回のEnglish blogにて少し補足説明する予定です。
English blog (3) : Diet and Menstruation (3)の投稿をお待ちください。
ちょっと、難しい話だな。
と思われる皆様は、
「カロリー制限すると長寿遺伝子の作用により、長生きできる。」
ということだけ、ご理解いただければ嬉しいです。
そういうわたしも、長生きしたく、ダイエット、ダイエット。