第64回日本生殖医学会報告 (4):不育症の基礎研究編:(2)子宮内膜のM2マクロファージ (前編)|まつみレディースクリニック|港区・田町・浜松町の産科・婦人科・不妊|女医在籍

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第64回日本生殖医学会報告 (4):不育症の基礎研究編:(2)子宮内膜のM2マクロファージ (前編)

第64回日本生殖医学会報告 (4):不育症の基礎研究編:(2)子宮内膜のM2マクロファージ (前編)|まつみレディースクリニック|港区・田町・浜松町の産科・婦人科・不妊|女医在籍

ちょうど1か月前に神戸で開催された、日本生殖医学会の報告の続きです。

今回の学会参加報告は不育症の発表にfocusして3部作のシリーズでお伝えしています。

構成は、1.抗精子抗体の話、2.子宮内膜における子宮NK細胞の話、3.子宮内膜のM2マクロファージの話です。

 

今回の発表は、北里大学と富山大学と東京大学との共同研究で、研究の指導者は、3つの大学に在籍された吉野修北里大学准教授です。

ちなみに、吉野修先生は、東京大学でわたしが病棟勤務をしていたときの研修医でしたが、そのころからとても優秀な先生でした。

発表の前に、フロアーで吉野先生を見つけ、久しぶりにご挨拶。

一般の方にはかなり難しい内容だと思いますので、前編と後編の2回に分けて、可能な限りわかりやすく報告してみます。

 

まず、基本的な単語を覚えましょう。

 

①マクロファージ:白血球のひとつ。死んだ細胞や細菌などの異物、体内の変性物を除去する(=貪食する)作用がある。

ファージ(phage)には「食べる」という意味があります。

マクロファージには、M1マクロファージとM2マクロファージのサブタイプがあり、M1マクロファージは抗菌及び抗ウイルス活性、抗腫瘍効果を発揮する。

M2マクロファージは炎症の制御や炎症後の組織修復に関与する。

M1マクロファージは炎症性サイトカイン(=細胞が分泌するTNFα、IL-6などのタンパク質)をM2マクロファージはIL-10などの抗炎症性サイトカインを分泌する。

M1とM2の状態は局所環境の変化(=局所因子の作用)により、可塑的(わかりやすくいうと、リバーシブル)である。

 

②増殖と分化:細胞の数が増えることと細胞の形質(性質)が変わること。

例えば、卵巣顆粒膜細胞はエストロゲンを分泌するが、分化して黄体化顆粒幕細胞となり、主にプロゲステロンを分泌するように性質が変わる。

 

③Wntシグナル:羽のない(wingless)ハエの研究から発見された、細胞の増殖や分化を制御するタンパク質であるWntの活性化により情報が伝達する経路。

情報の伝達(シグナル)には3種類の経路があるが、β-カテニン経路が古典的。

 

では、後編にてご発表を解説してみます。

すでに、単語が難しく、おなか一杯でしょうか?

年末ですが、暴飲暴食、注意です。