第19回日本再生医療学会も残念ながらWEB開催となってしまいました。
今回は、学会で受講する予定だった第7回再生医療資格認定講習会のお話です。
WEB開催された講習会の内容は、①「再生医療等安全性確保法」から始まり②「再生医療に関する倫理」③「細胞培養」④「施設要件」と続き、最後は⑤「再生医療における法令順守」でした。
再生医療等の安全性の確保等に関する法律によると、再生医療は第一種、第二種、第三種の3つに分類されます。
ちなみに、第一種はヒトに未実施なリスクの高い再生医療で、iPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)などを使用するものが含まれます。
iPS細胞は耳慣れた単語ですが、ES細胞(胚性幹細胞)は受精卵の一部の細胞(正確には胚盤胞という発育段階の受精卵の内細胞塊という部分の細胞)から樹立された細胞の集団(正確には細胞株=遺伝情報および細胞の性質が均一な細胞の集団)のことを指します。
現在、日本で行われている再生医療を応用した治療の殆どは血液細胞が用いられていまが、後述する、PRP療法とリンパ球を用いた癌の免疫療法が2本の柱となっています。
子宮内にPRPを注入する治療法(PRP療法:Platelet-Rich Plasma療法)は、産婦人科の難治性不妊症の患者さんに用いられる再生医療ですが、これは「第二種再生医療等」に該当します。
PRPは、血小板(=Platele)が豊富な(=Rich)血漿(=Plasma)ですが、これには、血小板由来成長因子(PDGF)や線維芽細胞増殖因子(FGF)などの成長因子(=タンパク質)が多く含まれます。
PRPを子宮内に注入するとこれらのタンパク質が子宮内で作用して、子宮内膜の細胞が増殖(=成長)し、その結果、子宮内膜が厚くなることが期待できます。
子宮内膜が厚くなると移植した受精卵(=胚)は着床しやすくなり、妊娠しやすくなると考えられています。
また、「再生医療に関する倫理」では、①人格の尊重、②善行、③正義の3つの倫理原則が先進的な医療には必要とのことでした。
倫理はすべての医療行為において求められます。
再生医療を行うには厚生省から認可を受ける必要があるとのことが、最後の「再生医療における法令順守」のセッションでの総括でした。