エンジェルスの大谷翔平選手がトミー・ジョン手術(Tommy John Surgery:側副靱帯再建術)という手術から順調に回復をしているというニュースがありました。
トミー・ジョン手術は損傷した肘の靭帯「側副靭帯」を切除し正常な腱を移植する手術です。
移植した腱が組織に定着するまでに時間がかかるので、長期のリハビリが必要です。
2000年代前半から手術数が急増し、この10年間で500人以上の選手が手術を受けています。
ジョーブ博士が開発した当初は成功率1パーセント程度でしたが、現在では、大リーグ選手の場合9割程度に成功率が上昇しているとのことで、その理由はリハビリテーションの技術が進歩しているからとのことです。
Marshall NEという著者の論文「Major League Baseball Pitching Performance After Tommy John Surgery and the Effect of Tear Characteristics, Technique, and Graft Type」
を斜め読みしてみました。
この手術(尺骨側副靭帯再建術:ulnar collateral ligament reconstruction ;UCLR)をして、96パーセントの選手が野球ができるようになり、82パーセントが大リーグに復帰しています。(2019年の論文です。)
①手術の方法、②移植した腱、③断裂部分の特徴(位置)に注目して解析したところ、①手術方法によって成功率は概ね差はないようですが、②移植した組織(移植片)の場所で比べると手関節の移植片の方が大腿骨内側の腱を用いた場合より成績が良く、③断裂した位置に関しては肘の遠位端のほうが近位端よりも(肩から遠くすなわち指先に近い方が)成績が良いとありました。。
「Forty-six MLB pitchers were identified as having primary UCLR. Return to play was 96%, with 82% returning to MLB play. Technique performed showed no difference in performance. Technique performed and graft type used did not affect performance; however, pitchers with palmaris grafts returned at a higher rate than those with gracilis grafts. Distal tears occurred in pitchers with greater velocity and better performance before injury, yet pitchers with proximal tears matched this performance after reconstruction. 」
と原文にはありました。
焦らずに頑張って欲しいものです。