便秘中の便秘について➁です。
妊娠中の便秘の要因についての話です。
【ホルモンバランスの変化が大きな要因】
女性には月経周期をつかさどる女性ホルモンのサイクルがあります。妊娠により体内のホルモンバランスに大きな変化が起こります。
そのひとつが、プロゲステロンというホルモンの増加です。おもに卵巣にある黄体でつくられるので、黄体ホルモンとも呼ばれています。
プロゲステロン は排卵後に増加し、子宮内膜を受精卵の着床に適した状態に変化 させるなどの妊娠準備を促します。
また、消化管の収縮を抑制する作用もあるため、プロゲステロンが増加する、排卵後から月経が始まるまでの1~2週間 も便秘になりやすい傾向があります。
排卵後、妊娠しなかった場合は次の排卵後までプロゲステロンはあまり分泌されませんが、 妊娠した場合は胎盤から 妊娠期間中に大量に増加分泌し続け、さまざまな作用で妊娠の維持に役立ったり、妊娠中の排卵を防ぐ、産後のおっぱいの準備といった非常に重要な 働き を担っています。
プロゲステロンには、消化器の 筋肉や靱帯を緩めて子宮が大きくなることに備えるといった作用もありますが、この作用のために 「大腸平滑筋」とよばれる、大腸を動かすための筋肉まで緩んでしまいます。そのため妊娠中は腸のぜん動運動が弱まって便がなかなか排出されないようになり 、水分を吸収され過ぎてしまった便がどんどん硬くなるなってしまいます。
これにより排便回数が少なくなっていき、不快な便秘の症状が現れることになります。
この、大腸の動きが弱まって起こる便秘は「弛緩性便秘」とよばれ、妊娠初期から産後まで続くことが多いといわれています。