遅くなりました。
4月に名古屋で開催された日本産科婦人科学会で勉強してきた内容の紹介の続きです。
シンポジウム2の「妊孕性改善と生児獲得を目指したpreconseption care(プレコンセプションケア) 」で発表された2番目の講演は「慢性子宮内膜炎」の話でした。
慢性子宮内膜炎が子宮内膜の機能と分化(=細胞が成長しその性質が変わること)に及ぼす影響とその治療について、要点は以下の5つです。
①慢性子宮内膜炎(chronic endometritis)は細菌感染などが原因によって起こるが、ほとんど無症状のため臨床的な意義(=意味)は不明であった。
②この数年の間に慢性子宮内膜炎と子宮内膜ポリープ、原因不明不妊、習慣流産、着床障害との関連性が報告されるようになった。
③慢性子宮内膜炎があると子宮内膜の胚受容能(受精卵を受け入れる能力)が障害され、着床障害の原因となり不妊に繋がる。
④この病態は正常の子宮内膜間質には、通常存在しない形質細胞が存在していることで診断される。
⑤慢性子宮内膜炎は抗菌薬(=抗生剤)の投与によって治療することが出来る。
補足:
①、間質とは生体内のある機能をもつ組織や器官などの実質(=間質の対となる単語)を支えたり結合させたりする組織のことを指します。
②、形質細胞(plasma cell)は、血液細胞の一種で Bリンパ球が成熟(=分化)した細胞です。
実際の研究のデザインとその結果についての詳細は、次回へ続きます。