妊婦健診の採血内容について質問をいただいたのでご紹介します。
①血液一般検査
貧血の有無や白血球・血小板の数を調べます。
一般に妊娠中は貧血になりやすいので鉄分の多い食事を心がけましょう。
②HBs抗原
B型肝炎ウイルスの検査です。B型肝炎ウイルスは、分娩の際赤ちゃんに感染する恐れがあります。
分娩後、児に感染の予防措置を行う必要があります。
③HCV抗体
C型肝炎ウイルスの検査です。母親の血液を介して赤ちゃんにも稀に感染し、赤ちゃんの検診が必要になることがあります。
④梅毒検査 (RPR・THPA)
性病の一種で、母子保健法で義務付けられている検査です。
未治療であると赤ちゃんが先天性梅毒症候群となることがあります。
⑤HIV抗体
エイズの原因となるウイルスに感染しているかをスクリーニングします。スクリーニングで陽性であった場合、専門の病院で確認検査を行っていただいております。スクリーニングで陽性であっても実際に確認検査で陽性となるのは1割以下です。経腟分娩では、高い確率で赤ちゃんにも感染します。
⑥HTLV-1抗体
成人T細胞白血病という血液癌の原因となるウイルスの検査です。母乳により赤ちゃんに感染する可能性があります。
⑦風疹抗体
妊娠初期に風疹に初めてかかると、流産や児が先天性風疹症候群になることがあります。抗体が16倍以下の方は風疹の患者さんとの接触を避け、分娩後に予防接種を受けるようにしましょう。
⑧トキソプラズマ抗体
イヌやネコから感染するトキソプラズマという感染症の検査です。妊娠中初めてトキソプラズマに感染すると流早産や赤ちゃんに先天性の異常が見られることがあります。検査の結果が陰性の場合は、イヌやネコに触れた時はよく手を洗ってからお食事をし、また、牛肉、豚肉、馬肉を生で食べないようにしましょう。
⑨血液型
分娩時の大量出血に対する準備として、また、血液型不適合妊娠への対策として検査を行います。
⑩不規則抗体
輸血や妊娠などにより産生され、胎児または新生児の貧血の原因となります。
⑪甲状腺機能検査
甲状腺機能異常があると流産・早産・子宮内胎児発育不全・胎児甲状腺異常となることがあります。
⑫血糖検査
糖尿病をチェックします。糖尿病があると胎児奇形の率が上昇したり、新生児低血糖の原因となったりします。妊娠初期の血糖が100mg/dl以上の時は、診断のための負荷検査(1時間おきに3回採血します)を行い、糖尿病でないことを確認します。
妊娠中はママの体と赤ちゃんが健康に過ごせるように検査がたくさんあります。