昨日は関東生殖医学会に参加して勉強してきました。
今回の学会長は帝京大学溝口病院の西井修教授で、学会場の受付から以前お世話になった皆さんと懐かしい再会。
会場では、日本医科大学の明楽教授や埼玉医科大学の石原教授、恩師の矢野院長先生はじめ、高崎アートでお世話になり、先週もサシ飲みをご一緒した堀川先生などにもご挨拶できました。
聞きたかったのは先日の汐留の学会で聞いた山王病院のPRP(Platlet Rich Plasma)を用いた不妊治療の臨床研究ともう一つは聖マリアンナ医科大学で臨床研究され、国際医療福祉大学に移られた河村和弘教授の POI(primary ovarian insufficiensy)の患者さんに対する臨床研究の演題です。
2つ目の演題については前回の学会でかなり詳しくお話したので簡単な補足のみです。
わかりやすく言うと、PTEN と イノシトールリン脂質という単語の説明だけ。
前回、(原始卵胞から二次卵胞に育てるために)PI3Kを活性化することと(二次卵胞からさらに発育させるために)Hippoシグナルを抑制することが卵胞を十分な大きさに発育させていくために必要とお話しましたが、正確には、ニ次卵胞をさらに大きく発育させるためにはHippoシグナルを抑制すると同時に、PTENという酵素の阻害剤も投与する必要があります。
PTEN(ピーテン:Phosphatase and Tensin Homolog Deleted from Chromosome 10)とは活性型のイノシトールリン脂質を活性が弱いものに変換する酵素です。
詳しく説明すると、PI3キナーゼ(PI3K)により細胞内で合成され、次のシグナル(Akt)の活性化を引き起こす活性型のイノシトールリン脂質を活性の弱いものに変換する酵素です。
PTENの作用が抑えられることにより、細胞内には活性型のイノシトールリン脂質が蓄積し、Aktが活性化します。
イノシトールリン脂質は、リン脂質(リン(P)がついている脂質(水に溶けない物質))のひとつです。
難しい単語でしたね。
ちなみに、PI3KのPはリン、Iはイノシトール(inositol)のIです。
今日のお話はこのくらいで、おわリン、ます。