まつみレディースクリニック三田

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関東生殖医学会 (2) 「PRP(Platlet Rich Plasma)と子宮内膜」

関東生殖医学会の学会報告の続きです。

最も聞きたかったのは先日の汐留の学会でさわりだけ伺った山王病院のPRP(Platlet Rich Plasma)を用いた不妊治療の臨床研究に関する発表です。

堤院長先生のご発表は相変わらず大変わかりやすく、会場からのわたしの質問にもご丁寧に答えてくださいました。

質問した内容を調べようと、関連する論文をいくつか斜め読みしてみました。

PRPに関する論文はいくつかありますが、比較的新しくわかりやすかったのは、2018年のAghajanova L らの論文です。
研究はUCSF(University of California San Francisco)のReproductive Sciences Centerでされていました。

論文の題名は「In vitro evidence that platelet-rich plasma stimulates cellular processes involved in endometrial regeneration」

この研究論文は、PRP(platelet-rich plasma)が子宮内膜細胞の再生(endometrial regeneration)において、細胞のさまざまな変化(cellular processes)に刺激をあたえるかどうかを生体外で調べたものです。

臨床の現場において、着床の時期に子宮内膜の上皮細胞の増殖が乏しい(=子宮内膜が厚くならない)患者さんや、(流産手術などにより)子宮内膜に傷がついたあとの内膜の修復が十分でない(アッシャーマン症候群という病名です)患者さんの対応に苦慮することがあります。
実際、今回の学会でも群馬大学からアッシャーマン症候群に関する演題の発表もありました。

さて、論文の研究ですが、実験で用いた細胞は、様々なヒトの子宮内膜の幹細胞(stem cells)です。
検討した項目は、①細胞増殖②細胞の移動する能力(=細胞浸潤あるいは遊走といいます)③(間葉系から上皮への)細胞の性質の変化④炎症にかかわるタンパク質やホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の受容体(ブログ参照)の(発現)量などについてです。

結果は、血小板が多い血漿は少ない血漿に比べて、
細胞増殖は増す(increased stromal and mesenchymal cell proliferation)②細胞の移動する能力(=細胞浸潤あるいは遊走といいます)は増える(enhanced migration)③(間葉系から上皮への)細胞の性質の変化はない(There was no evidence of MET)④炎症にかかわるタンパク質は増えるが、ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の受容体の(発現)量は変わらない。(No difference in estrogen or progesterone receptor mRNAs was observed)
でした。

原文は()で引用しました。

「PRPが異なるヒトの子宮内膜幹細胞の再生に効果があり、子宮内膜の増殖が悪く、あるいは、損傷した患者さんの治療に使用するのも悪くはない選択肢である。」
と結論されています。

原文には「These data provide an initial ex vivo proof of principle for autologous PRP to promote endometrial regeneration in clinical situations with compromised endometrial growth and scarring.」とありました。

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