先日、トキソプラズマ感染が疑われる妊婦さんがクリニックにいらっしゃいました。
トキソプラズマ(感染)症とはトキソプラズマ(Toxoplasma gondii)という寄生虫の感染により生じる病気で、妊娠中に感染した場合には、胎児に視力障害や精神発達遅滞が認められることがあります。
まつみレディースクリニック三田では妊娠初期のスクリーニング検査として、トキソプラズマの抗体(トキソプラズマIgG抗体)も、測定しています。
細菌、ウィルス、花粉などに代表される非自己(自分ではないもの)が身体の中に入ると、ご存知のように抗体ができますが、抗体にはいくつかの種類があり(サブクラスと言います)、トキソプラズマの場合には感染初期に上昇してくるものがIgM抗体、感染したことがあることを意味するサブクラスがIgG抗体です。
細かい話をすると、IgG抗体には感染初期に上昇する結合力の低いIgG抗体と感染後しばらくしてから上昇する結合力が高いIgG抗体があります。
この結合力の差を用いて、感染時期を推定する方法をアビディティー(avidity)検査といいます。
トキソプラズマ症が疑われる妊婦さんは、ご希望があればクリニックにいらしてください。
母校の大先輩の小島俊行先生はトキソプラズマ症における日本の第一人者です。
三井記念病院の産婦人科部長を退任後、現在は、埼玉県のミューズレディースクリニックの院長をされております。
治療方針を決めることが難しい場合には、ご紹介も可能ですし、院長はダイレクトにコンサルトする(=助言をいただく)こともできます。
なお、トキソプラズマ症の第一選択薬はスピラマイシンという薬です。
妊婦から胎児への母子感染(胎内感染)の有無は出生児の臍帯血中の抗体検査や新生児を診察して判断します。