10月28日にお茶の水にて開催された東京大学産科婦人科学教室主催の東大病院と診療所(=クリニック)の病診連携の会の参加報告の続きです。
第二部で、甲賀かをり准教授は器質性月経困難症の患者さまに対する病診連携についてご講演されました。
研究会のオープニング・クロージングリマークスの担当は廣田泰准教授です。
大須賀穣教授の研究グループが発表された論文のうち、今回の研究会と関係のあるものが各人の座席に配布されていました。
前回は鼠径部子宮内膜症の論文をご紹介しましたが、今回もわかりやすく別の論文を解説したいと思います。
②、Bladder endometriosis developed after long-term estrogen therapy for prostate cancer
この論文は稀少部位子宮内膜症のひとつである膀胱子宮内膜症についてのものです。
子宮内膜症は一般的に女性の疾患ですが、極めて稀な「男性の」膀胱に発生した膀胱子宮内膜症の症例報告の論文です。
なお、この論文の著者は大須賀教授の研究グループではなく、東大病院泌尿器科の本間教授のグループですが、症例(患者さま)は東大病院にて治療を受けられた方です。
患者さまは74歳の男性の方で、痛みはないものの血尿を主訴に外来を受診。
5年前に限局した前立腺癌の根治的前立腺切除術の病歴があり、術後に内分泌療法を5年間受けていました。
膀胱鏡検査の結果、左尿管開口部に3cmの大きさの固形腫瘍を認めたため、病理学的診断の目的で膀胱腫瘍の経尿道的切除術が行われました。
病理検査の結果、腫瘍は膀胱に発生した子宮内膜症組織であることがわかりました。
内分泌療法であるエストロゲン製剤(ethinylestradiol:EE)の投与を中止して、半年後には前立腺がんの腫瘍マーカー(PSA)の上昇もなく、腫瘍は著しく縮小しました。
論文には「Based on these findings, the histopathological diagnosis of endometriosis of the urinary bladder was made. Six months after the withdrawal of ethinylestradiol (EE), the tumor remarkably shrank on both cystoscopy and CT without elevation of PSA. 」とありました(一部改変)。
当院では、婦人科良性疾患の手術療法(外科的治療)が必要な場合には、東大病院を含め、患者さまに最適な病院をオーダーメードで迅速にご紹介させていただいております。
大変ありがたいことに、当院は同窓の東京大学産科婦人科教室とは特別に密接な医療連携を構築させていただいてます。
お知らせにあるように、当院からのご紹介による東大病院での外来の初診予約を含めた手術までの待機時間は大幅に改善されました。
当院からのご紹介による東大病院での手術までに要するおおよその期間は電話にてご確認ください。
また、手術をお考えの患者さまは【初診(手術)】の予約枠でご予約ください。
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