まつみレディースクリニック三田

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第35回日本生殖免疫学会総会 (3)

WEB開催された第35回日本生殖免疫学会総会の参加報告の続きです。

クリニックの診療の大事な柱は不育症・習慣流産の治療です。

不育症・習慣流産の病態を解明するためのベーシックサイエンスを生殖免疫学会では対象としています。

 

さて、柳澤先生の発表「妊娠高血圧症候群において酸化ストレスはNrf2シグナルを介してオートタキシン(ATX)の発現を促す」の解説の続きです。

柳澤先生は東京大学大学院医学研究科生殖・発達・加齢医学講座の永松研究室で研究されています。

妊娠高血圧症候群は血管内皮細胞の障害が原因であることがわかっていますが、この研究は、妊娠高血圧症候群に酸化ストレスが関与しているかを検討しています。

 

登場する基礎医学の専門用語の解説から。

 

Nrf2シグナルは,生体の酸化ストレス防御機構において中心的役割を果たしているタンパク質(=転写因子といい、DNAに結合し作用します)で、さまざまな生体防御に関わる遺伝子群を(DNAに結合することにより)活性化しています。

転写因子については、過去ブログ(2019年10月9日、2020年4月22日)も参照して下さい。

オートタキシン(ATX)はリン脂質を分解する(=代謝する)タンパク質(=酵素)で、リゾホスファチジルコリン(LPC)というリン脂質から(=を分解して)リゾホスファチジン酸(LPA)を産生します。

リゾホスファチジン酸(LPA)は、脂質メディエーター(=伝達物質)のひとつで、さまざまな生理学的作用があります。

 

この研究に先立ちまして、永松研究室では、妊娠経過に伴って(=妊娠週数が上がるにつれて)オートタキシン(ATX)の血中濃度は増加して、産褥に伴い、血清濃度は非妊娠時に戻ることを解明しました。

また、永松研究室では、正常の妊婦と比べると、妊娠高血圧症候群(hypertensive disorders of pregnancy:HDP)においては、胎盤におけるオートタキシン(ATX)の産生量が変化していることを明らかしました。

オートタキシン(ATX)は伝達物質であるリゾホスファチジン酸(LPA)というリン脂質の産生に関与しています。

すなわち、妊娠高血圧症候群には、胎盤でのATX-LPAシステムの異常が潜在的に関与している可能性があります。

 

長くなると皆さまのストレスになるので、続きは次回です。

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