昨年度に開催されてから年を越してしまいましたが、文京区にて開催された東京大学産科婦人科学教室主催の東大病院と診療所(=クリニック)との病診連携の会への参加報告、最終回です。
過去の研究会報告、例えばひとつ前の「月経困難症の病診連携についての研究会 (3)」は2020年の11月下旬まで戻ってくださいませ。
廣田泰准教授が研究会のオープニング・クロージングリマークスの担当でした。
座席には、子宮内膜症や子宮腺筋症の治療薬のひとつであるディナゲストと関係のある大須賀穣教授の研究グループが発表された論文が配布されていました。
第二部の甲賀かをり准教授の発表のあと、子宮筋腫、卵巣腫瘍(卵巣嚢腫)などの婦人科良性疾患で手術を検討されている患者さまについて病診連携の打ち合わせを行いました。
これまでは配布された学術論文のうち臨床についてのものをご紹介しました。
最終回は、今回の病診連携の会はディナゲストの勉強会も兼ねておりましたので、ディナゲスト(化合物の一般名がジェノゲストです)と子宮内膜症についての基礎的な研究論文をご紹介します。
といっても、子宮内膜症の患者さんにディナゲストを投与して、採取した組織の変化を調べた(=臨床検体を用いた)研究論文です。
Dienogest reduces proliferation, aromatase expression and angiogenesis, and increases apoptosis in human endometriosis.
この論文は、ジェノゲスト(製剤名がディナゲストです)で治療された患者さんと治療されていない患者さん(=コントロールあるいは対照といいます)から子宮内膜症組織を収集して、ジェノゲストの子宮内膜症に対する治療効果を裏付ける、ジェノゲスト投与による子宮内膜症の組織の変化を明らかにした論文です。
研究結果は論文のタイトルのままで、これをわかりやすく説明すると以下のようになります。
ジェノゲスト(製剤名がディナゲストです)を投与すると、ヒトの子宮内膜症組織の細胞の増殖は抑制され、(子宮内膜症組織の)細胞は死滅します(=細胞死:アポトーシスは増えます)。
また、ジェノゲストの投与により子宮内膜症組織の細胞内の酵素(=酵素の名称はアロマターゼです)の量が減り、新しくできる血管の数も少なくなります(=血管新生が抑制されます)。
論文の結論には、「Our study demonstrates that endometrioma taken from patients treated with dienogest show remarkable histological features such as reduction of proliferation, aromatase expression and angiogenesis, and increase of apoptosis.」とありました。
もう一度訳して説明すると、ジェノゲストにより子宮内膜症組織の①細胞増殖の抑制、②細胞死(アポトーシス)の誘導、③酵素および血管新生の減少など際立った組織学的変化が認められたとのことでした。
まつみレディースクリニック三田では、婦人科良性疾患の手術療法(外科的治療)が必要な場合には、東大病院を含め、患者さまのニーズに応じて最適な病院をオーダーメードで迅速にご紹介させていただいております。
手術をお考えの患者さまは【初診(手術)】の予約枠でご予約ください。
クリニックは同窓ということもあり、大変ありがたいことに、東京大学産科婦人科教室とは特別な医療連携を構築させていただいてます。
お知らせにあるように、当院からのご紹介による東大病院での外来の初診予約を含めた手術までの待機時間は特別に大幅に短縮されています。
クリニックからのご紹介による東大病院での手術までに要するおおよその期間は電話にてご確認ください。
先日も、腹腔鏡下手術が必要な患者さまを廣田准教授にダイレクトにご紹介させていただきましたが、同窓会員として恥ずかしくないように地域医療に貢献していきたいものです。
患者さまは英語対応が必要な方でしたが、語学も堪能な廣田准教授にご紹介するとお話すると「Sounds good」とのことでした。
廣田先生、甲賀先生とのスリーショット写真、若手の先生方との集合写真は宜しければFacebookもご覧くださいませ。