こんにちは。
火曜日の夕方に胎児精密超音波スクリーニング検査を担当している香川です。
今回は、まつみレディースクリニック三田の胎児精密超音波スクリーニング検査で見つかった先天性肺気道奇形type3について解説してみたいと思います。
胎児精密超音波スクリーニング検査は胎児に形態的な異常がないかどうかを確認する検査で、主に妊娠20週頃に行っています。
そう言うと、
「何でも異常があればわかるんだ。」
っと思われてしまいがちですが、けっしてそういうわけではありません。
超音波検査でわかる異常は限られていますし、胎児の向きによってはそもそもよく見えないこともありますので、すべての形態異常がわかるとは限りません。
さて、クリニックでのスクリーニング検査で見つかった症例の解説です。
症例は先天性肺気道奇形type3といってかなり稀な疾患で、私の36年間の経験でも自分で見たのは初めてでした。
胎児精密超音波スクリーニング検査では、胎児の向き、大きさ、羊水量、胎盤の位置、臍帯の付着部位、臍帯の血管数を確認したあと、系統的に胎児の頭部、顔面、頸部、胸部、腹部、背部、四肢の形態を評価し、最後に心臓を観察していますが、今回のケースでは、胸部の見え方に問題がありました。
通常胸部では正中からやや左前に向かって心臓があり、その両側に左右の肺が存在します。
肺は超音波ではグレーに映るのが普通ですが、このケースでは肺の一部が高輝度と言って画面では白く映りました。
このような場合、 肺自体に問題があるか、あるいは肺があるべき場所に腸管が入ってきてしまっていることが考えられます。
前者の場合が先天性肺気道奇形や肺分画症、後者の場合が先天性横隔膜ヘルニアになります。
他の所見と合わせて先天性肺気道奇形type3をもっとも疑い、分娩後に新生児の管理も必要になる可能性もあるため、念のため、東京大学産婦人科に紹介させてもらいました。
先日、分娩報告を受けましたが、出生後の診断はやはり先天性肺気道奇形type3でした。
幸い肺気道奇形の部分が小さく、いまのところ自然経過観察で済んでいるようです。
今後も出生前に的確に診断することでお役に立てるよう頑張りたいと思います。