第42回日本エンドメトリオーシス学会の参加報告の続きです。
シンポジウム2の「子宮筋腫の発生進展メカニズム」という基礎的な演題を小分けにして解説しています。
近年、子宮筋腫の発症には遺伝的要因(=遺伝による影響)以外に環境因子(=環境による影響)が関与することがわかってきました。
生物の遺伝情報は遺伝子により伝達されます。
遺伝子を構成しているDNAの塩基配列(=DNAの文字の並び方)が遺伝情報ということになります。
この情報となるDNAの文字はA(アデニン)、G(グアニン)C(シトシン)T(チミン)と4種類ありますが、この配列(=正確には塩基配列)により、(タンパク質を構成している)アミノ酸が規定されます。
遺伝子は環境などの原因により後天的に変化を起こしますが、この遺伝子の後天的な変化を遺伝子のエピジェネティックな変化と呼びます。
遺伝子のエピジェネティックな変化として、代表的なものに、DNAのメチル化と言われるものがありますが、このDNAのメチル基の異常が疾患の発症に関与することがわかってきています。
例えば、4種類のDNAのひとつのシトシン(C)がメチレーション(=Methylation:メチル基というメチルアルコールの一部が遺伝子につくこと)により変化すると、文字はmC(メチル化されているシトシン)となり、情報が変わります。
更に、この遺伝子のエピジェネティックな変化により、主要ないくつかの遺伝子(=マスターレギュレーション遺伝子)が異常を起こし、この異常を起こした多くの遺伝子の発現を制御する司令塔のような遺伝子(=マスター制御遺伝子)の命令によって、その下流の遺伝子群が異常な発現を起こし疾患の発症につながると考えられています。
この司令塔のような役割の遺伝子のことは、マスター遺伝子、マスターレギュレーション遺伝子、マスター制御遺伝子、マスターコントロール遺伝子などの名称で呼ばれますが、全部同じものを指しています。。
オーケストラでも、コンサートマスターというポジションがありますが、マスターの持つ意味は同じです。
続きは、第3部へ。
音楽では、第三楽章ということになります。