第42回エンドメトリオーシス学会(3):子宮筋腫の発生進展メカニズム(2)|まつみレディースクリニック|港区・田町・浜松町の産科・婦人科・不妊|女医在籍

〒108-0014
東京都港区芝4-5-8 池藤ビル3階
03-6453-8355
  • お問い合わせ
  • インスタグラム
  • LINE
ヘッダー画像

第42回エンドメトリオーシス学会(3):子宮筋腫の発生進展メカニズム(2)

第42回エンドメトリオーシス学会(3):子宮筋腫の発生進展メカニズム(2)|まつみレディースクリニック|港区・田町・浜松町の産科・婦人科・不妊|女医在籍

第42回日本エンドメトリオーシス学会の参加報告の続き、第3回です。

シンポジウム2の「子宮筋腫の発生進展メカニズム」という基礎的な演題を小分けにして解説しています。

 

近年、子宮筋腫は遺伝(=遺伝的要因)以外に環境(=環境因子)によって起きることがわかってきました。

細胞の性質を決める遺伝子は環境などの原因により後天的に変化を起こします。

遺伝子が後天的に変化することを遺伝子のエピジェネティックな変化と呼びます。

 

この遺伝子のエピジェネティックな変化により、主要な役割をもつ遺伝子(=マスターレギュレーション遺伝子)の異常が起きます。

マスター制御遺伝子は、その下位にある多くの遺伝子の発現を制御する司令塔のような役割があります。

マスター制御遺伝子の命令によって、多くの遺伝子の発現異常を起こし(=遺伝子の作用により作られるタンパク質の量が変わり)、疾患が発症します。

 

最近の研究により、子宮筋腫でも、このDNAのメチル化の異常、すなわち、環境因子による後天的な遺伝子の変化が発症に関与していることがわかってきました。

この研究発表では、子宮筋腫と正常の子宮の筋層にある遺伝子の違いを調べて、マスター(レギュレーション)遺伝子(=下流の遺伝子群の発現を制御している主要な遺伝子)を見つけました。

 

その結果、正常の子宮筋層の細胞と比較すると、子宮筋腫の細胞はSATB2とNRG1という2つの遺伝子に異常があることがわかりました。

すなわち、SATB2とNRG1という2つの遺伝子がマスター(コントロール)遺伝子(=下流の遺伝子群の発現を制御している主要な遺伝子)ということになります。

 

大変お疲れさまでした。

今回は、ここまでです。

次回からは、培養した細胞を用いた実験のデーターの紹介です。