WEB開催となってしまった第2回日本不育症学会で受講した不育症認定医の講習会の報告の続きです。
先天性子宮形態異常と不育症の後編になります。
前編では、子宮の形態異常は大きく分けて先天性と後天性があり、先天性子宮形態異常は双角子宮、中隔子宮、弓状子宮などにカテゴライズされるというお話をしていました。
それでは、後編では流産の原因となることがある双角子宮や中隔子宮について、その理由を解説してみます。
理由は概ね以下の3つです。
①、中隔組織の成分は線維性結合組織であり、血管分布に乏しい
②、中隔部分を覆う子宮内膜には血管内皮細胞増殖因子(というタンパク質)の受容体(=細胞側の構造物)が少ない(ので子宮内膜の性質が異なる)。
③、中隔部には炎症性サイトカイン(=炎症を制御する細胞が分泌する情報伝達に関わるタンパク質)を産生する免疫細胞が少ない。
このような子宮奇形の治療には子宮鏡下中隔切除術が行われます。
不育症と子宮鏡下中隔切除術についての、米国、欧州および日本の学会のガイドラインを簡単にまとめると、
「子宮鏡下中隔切除術は流産率を減少させ不育症の女性の出生率を向上させるため、症例を適切に選択すれば、経験のある術者による外科的治療は選択される治療法のひとつとして推奨される。」
となります。
当院では先天性子宮奇形を子宮鏡検査だけでなく、近隣の病院との連携によるMRI検査も合わせて正確に診断することができます。
不育症や流産をしたことがある方以外にも、他院にて子宮内膜ポリープや子宮粘膜下筋腫を指摘された方、原因不明の不正出血で困っている方など、子宮鏡検査をご希望の方はクリニックにご連絡ください。