WEB開催となってしまった第2回日本不育症学会で受講した不育症認定医講習会の参加報告の続きです。
講習会は全6回で、以下の6つのパートから構成されていました。
①、不育症のオーバービュー
②、先天性子宮形態異常と不育症
③、流産染色体検査
④、遺伝医療と医療倫理
⑤、不育症における遺伝カウンセリング
⑥、不育症患者のための認知行動療法
これまでに前編と後編の2部に小分けして、「先天性子宮形態異常と不育症」について解説しました。
当院は、現在、倫理委員会を設置手続き中です。
基礎医学や社会学が専門の複数の大学教授などが当院の倫理委員会のメンバーになる予定です。
倫理委員会が設置できますと、厚生労働省に届けられている先進医療や臨床研究ができるようになります。
設置が出来次第お知らせしますので、少々お待ちください。
前置きが長くなりましたがこのような理由から、今回は少し馴染みが薄いお話(用語)ですが、「遺伝医療と医療倫理」で解説されていた内容の中のほんの一部の「倫理」や「倫理委員会」ついて、紹介してみます。
「遺伝医療と医療倫理」の講師は京都大学医学部付属病院遺伝子診療部の山田崇弘先生でした。
倫理とは、共同体における人間関係を律する規則や規範で、特に意見や考え方に対立がある場合にはお互いの立場を尊重することを指します。
倫理委員会は、各病院(やクリニック)における治療や臨床研究に関する倫理問題を検討する内部的な委員会のことです。
臨床研究を実施する場合には、患者さんが参加する臨床研究が倫理指針に基づいて適格に計画され実行されているかを判断し、臨床研究の実施の可否、継続の可否について施設の長へ意見を述べることを目的としています。
先日、「流産検体を用いた染色体検査」が先進医療として認められました。
現在も一部の患者さんに自費(自由診療)でこの診療を行っていますが、当院が倫理委員会を設置完了次第、厚生労働省に届け出をして先進医療であるこの診療をより多くの患者さまに行っていく予定です。
先進医療とは、わかりやすく言うと、自由診療のうち、保険適用の診療(=保険診療)となることを前提に厚生労働省が認定した高度な医療技術のことを指します。
流産組織の染色体検査を行うことで、流産の原因となっていた(かもしれない)遺伝情報を知ることができるようになります。