8月31日は港区三田地区医師会の講演会(27会)でした。
緊急事態宣言が継続されておりまして、港区医師会も一丸となって、新型コロナウィルス感染症と戦っております。
緊急事態宣言中ということで、麻布十番の港区医師会館に集まったのは4人、他のほとんどすべての先生方はWEBでの参加です。
特別講演の演者は東京都済生会中央病院の血液内科部長の菊池隆秀先生で、座長は神山洋先生でした。
いつもと同じく外来診療を制限し、終了次第タクシーにて向かいましたが、大幅遅刻。
ちなみに、他の出席者は港区三田地区医師会に入会するときに①神山洋先生と一緒に面接をしてくださった世話人の②田中操先生と港区医師会の事業で大変お世話になっている③安田淳先生でした。
講演会は最後の10分くらいしか聴講できませんでしたが、折角なので、血液がんについての総説とほんの少しの学んだ内容を紹介させていただきます。
血液のがんとしては白血病が有名です。
血液は赤血球、白血球、血小板などの血球成分と血漿から構成されています。
赤血球や白血球などの血液の細胞(血液細胞)は、造血幹細胞という、①多様な種類の細胞に分化し、②自己複製能力を持つ「幹細胞」から分化することで作られます。
この血液細胞の分化および成熟の過程でがん化が起こり、血液細胞が異常に増殖をするのが「血液がん」です。
造血幹細胞は大きく分けて骨髄球系とリンパ球系の2種類に分化します。
骨髄球系は赤血球、血小板、顆粒球と単球に、リンパ球系はB細胞、T細胞、NK細胞などのリンパ球に分化します。
これらの中の顆粒球、単球、リンパ球が白血球にカテゴライズされます。
血液がんは大きく分けて、白血病、悪性リンパ腫、形質細胞腫瘍の3つに分類されますが、白血病は白血球の分化しつつある未熟な細胞(=幼若芽球)が増殖した血液がんです。
菊池先生のご発表によると、血液がんをわずらっている患者さんは、一般の方よりも新型コロナウィルス感染症によって死亡する確率は約2倍高いという統計が報告されています。
白血病で免疫不全の(免疫力がなくなっている)方はコロナワクチンを接種してもコロナウィルスに対する抗体ができないのがその理由だそうです。
ちなみに、オリンピックで金メダルを取った水泳の池江選手がかかったのは急性リンパ球性白血病(ALL)です。
池江選手は急性リンパ性白血病と診断された後、抗がん剤治療中に感染症や臓器の機能障害などの合併症を起こしたために、骨髄移植という造血幹細胞移植を受けました。
造血幹細胞移植の中には臍帯血を移植するものもあり、「臍帯血バンク」という事業で産科医療も血液がんの治療に関わっています。