まつみレディースクリニック三田

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第3回日本不育症学会(4):「APLパネル検査(前編)」

生殖免疫学会に続いて生殖医学会も開催されましたが、ブログにアップする機会が伸び伸びになっていた第3回日本不育症学会のWEB講演会の4回目の参加報告です。

新年度になってしまいましたが、第66回生殖医学会の参加報告も控えておりまして、書き貯めておりましたものを順次報告させていただきます。

 

今回の一般演題は、どれもわかりやすくて勉強になりました。

その中から「抗リン脂質抗体検査におけるAPL(antiphospholipid antibodies:aPL)パネル検査の導入」というタイトルの、国立成育医療研究センターの小澤伸晃先生によるご講演を紹介します。

小澤先生には、米国留学帰りに不妊治療の研修目的に国立成育医療研究センターに在籍していた頃、斎藤英和先生や高松潔先生と一緒に大変お世話になったものです。

以下ご講演の内容を紹介します。

 

その前に、この頃ブログによく出てくる「抗リン脂質抗体症候群」という単語を改めて解説してみます。

抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome、APS)は指定難病の1つで、血中に抗リン脂質抗体とよばれる自己抗体が存在し、さまざまな部位の動脈や静脈に血栓症(脳梗塞や下肢深部静脈血栓症)を起こしたり、習慣流産などの妊娠合併症をきたす病気です。

根治療法は未確立で、病態に応じて抗凝固療法やステロイド投与などが行われています。

治療が長期間にわたるため、重症の場合には医療費助成の対象となります。

 

本疾患と診断されるためには、次の臨床基準・検査基準をともに満たすことが必要です。

【臨床基準】

血栓症または妊娠合併症が1項目以上存在する。

【検査基準】

次の検査項目のうち1項目以上が存在する。

(1)ループスアンチコアグラントを12週間以上の間隔をおいて2回以上検出(=陽性)

(2)中等度以上の力価のIgG型またはIgM型のaCL(抗カルジオリピン抗体)を12週間以上の間隔をおいて2回以上検出(=陽性)

(3)中等度以上の力価のIgG型またはIgM型の抗β2GPI抗体を12週間以上の間隔をおいて2回以上検出(=陽性)

 

【検査基準】にあるこれらの検査項目を網羅的に測定できるのが、抗リン脂質抗体パネル検査で、保険適用となっています。

抗リン脂質抗体パネル検査(=APLパネル検査)とは、抗リン脂質抗体のうち抗カルジオリピン(cardiolipin; CL)抗体については、抗CLIgG抗体と抗CLIgM抗体を、抗β2GPI抗体については抗β2GPIIgG抗体と抗β2GPIIgM抗体を同時に調べる検査です。

 

前置きが随分長くなってしまったので、今回はここまでです。

第3回日本不育症学会(5):「APLパネル検査(後編)」をお待ちください。

昨年の学会の報告を年を越してすることになりましたが、次回が第3回日本不育症学会の参加報告の最終回です。

 

大変ありがたいことに、不育症の患者さまは順調に増えてきました。

当院でも近日中にこの「APLパネル検査」を導入予定です。

詳しくは、メールにてお問い合わせください。

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