1月からクリニックの出生前診断に新たに加わった妊娠初期胎児超音波スクリーニング検査(胎児ドック)の解説をしています。
妊娠初期胎児超音波スクリーニング検査(胎児ドック)の担当は山王病院産婦人科の中山部長です。
中山医師は日本超音波医学会指導医・専門医以外にも、日本胎児心臓病医学会胎児エコー専門医、FMF(Fetal Medication Foundation)認定超音波専門医(Fetal Medication Foundation NT Certification)、加えて、日本乳がん検診機構乳房超音波専門医の資格を持つ超音波検査のスペシャリストです。
昨年、藤井知行先生が東京大学から山王病院にご栄転されるときに、一緒に異動されました。
※中山敏男医師(東京医科大学卒、山王病院産婦人科部長・国際医療福祉大学臨床医学研究センター 准教授:日本超音波医学会指導医・専門医、日本産科婦人科学会指導医・専門医、日本胎児心臓病医学会胎児エコー専門医、日本乳がん検診機構乳房超音波専門医、FMF認定超音波専門医:Fetal Medication Foundation NT Certification)
出生前診断、すなわち胎児ドックは大きく非確定検査と確定検査に分かれますが、侵襲的検査と非侵襲的検査に分けることもできます。
母体の血液検査によるものや超音波検査は非侵襲的検査に、一方、羊水穿刺または絨毛採取は侵襲的検査にカテゴライズされます。
胎児染色体検査の確定診断には羊水穿刺または絨毛採取による侵襲的検査が必須ですが、ある論文によれば、これらの侵襲的検査をすることによる流産のリスクはおよそ約1%程度であると報告されています。
妊娠16週未満での羊水穿刺や妊娠11週未満での羊水穿刺は流産のリスクを上げたり、胎児奇形と関連しうるため施行を控えるべきです。
さて、非侵襲的検査に話を戻しますと、妊娠初期胎児超音波スクリーニング検査でもっとも評価の対象となる所見は、首の後ろのむくみの像です。
難しい医学用語で説明すると、これは項部浮腫(Nuchal translucency;NT)といわれる妊娠初期の胎児後頚部皮下の液体貯留像のことです。
NT(項部浮腫)というこの単語はむくみが頚部のみに限局する場合だけでなく、全身に及ぶ場合にも用いられます。
この浮腫は嚢胞性ヒグローマへという病態に進行することがあり、さらに全身性の胎児水腫を伴うこともあります。
「嚢胞性ヒグローマ」については関連する過去ブログ(2021年5月9日、2021年6月2日)も参照してみてください。
次回からもシリーズで解説予定ですが、胎児ドック、ご興味のある方はメールにてお問い合わせください。
妊娠初期胎児超音波スクリーニング検査(胎児ドック)は原則的に妊娠12週0日から妊娠13週6日までが対象の出生前診断で隔週の金曜日1700-1830です。
1月14日(金)から始まりますが、お問い合わせが大変多く、今月に限り、14日、28日に加えて21日も予約枠があります。