当院で今年1月から開始した妊娠初期胎児超音波スクリーニング検査（胎児ドック）について数回にわたり解説しています。

精密超音波外来は、今年度1月より山王病院の中山医師が担当しています。

 

※中山敏男医師（東京医科大学卒、山王病院産婦人科部長・国際医療福祉大学臨床医学研究センター　准教授：日本超音波医学会指導医・専門医、日本産科婦人科学会指導医・専門医、日本胎児心臓病医学会胎児エコー専門医、FMF認定超音波専門医:Fetal Medication Foundation NT Certification、日本乳がん検診機構乳房超音波専門医）

 

妊娠初期胎児ドックで皆さんにも馴染みがある単語は、首の後ろのむくみですが、これは医学用語では項部浮腫（＝NT肥厚）といいます。

項部浮腫（NT肥厚）の測定に最適な妊娠週数は、妊娠11週0日から妊娠13週6日の間で、計測するときの胎児の大きさが決まっています。

NTが肥厚している（＝項部浮腫が認められる）場合には、染色体異常が原因であることが多いですが、染色体が正常な胎児においても胎児に先天性心臓血管系に構造異常を認める頻度が増加します。

また、心血管系の構造異常以外にも、項部浮腫と関連がある病気としては横隔膜ヘルニア、臍帯ヘルニア、巨大膀胱、骨格異常などがあげられます。

 

胎児の後頚部皮下に体液貯留が起こる原因は一元的なものではないため、項部浮腫（NT肥厚）は複数の異なる病態と関連していると考えられています。

原因（＝メカニズム）としては以下のものが挙げられます。

 

胎児の心血管系の異常や機能が良くない（＝機能不全）

頭頚部静脈の血流やリンパ管の流れが悪い（＝静脈血流やリンパ系還流のうっ滞）

胎児感染（トキソプラズマ、サイトメガロウイルスおよびB19パルボウイルスなどの感染）

胎児貧血など

 

項部浮腫（NT肥厚）が改善しない場合、明らかな奇形を認めなくとも妊娠14週から妊娠16週に項部浮腫が残存し、項部浮腫から重症胎児水腫へ進行し、20週までに胎児死亡に至ることがあります。

 

首の後ろのむくみや嚢胞性ヒグローマについては過去ブログも参照してみてください。

ブログには検索機能が付いています。

 

さて、お知らせにある通り、4月からは胎児ドックは山王病院の中山医師が担当の隔週金曜日夕方に加え、月曜日午前（1130-1300）に出生前診断が専門の藤井医師も診療に加わります。

 

藤井医師は、東京大学産婦人科周産期チームにおいて胎児ドックに必須のトレーニングを受け、港区や渋谷区で妊娠初期胎児ドックの診療を展開している他院の医師と同等の資格（FMF認定超音波専門医）を保持しており、十分に豊富な経験がありますので、月曜日午前の妊娠初期胎児ドックのご予約も宜しくお願い致します。

※藤井達也医師（東京大学卒、東京大学医学博士、東京大学産婦人科助教、FMF認定超音波専門医:Fetal Medication Foundation NT Certification）

 

藤井達也医師は当院と東京大学産婦人科、山王病院産婦人科、聖路加国際病院女性総合診療部との出生前診断についての共同発表の共著者でもあります。

 

Successful prenatal genetic diagnosis for a pregnant woman with a history of repetitive pregnancies with chromosome 7-involving abnormalities.

Hirotaka Matsumi, Takeshi Nagamatsu, Tatsuya Fujii, Mikio Momoeda, Tomoyuki Fujii.
the 27th Asia Oceania Federation of Obstetrics and Gynecology, バリ（インドネシア）、 2022年 5月（in submission）

1.Hirotaka Matsumi, 2.Takeshi Nagamatsu, 2.Tatsuya Fujii, 3.Mikio Momoeda, 4.Tomoyuki Fujii.
1.MATSUMI Ladies Clinic Mita, Tokyo, Japan
2. Department of Obstetrics and Gynecology, Faculty of Medicine, The University of Tokyo, Tokyo, Japan
3. Department of Integrated Women’s Health, St. Luke’s International Hospital, Tokyo, Japan
4. Department of Obstetrics and Gynecology, Sanno Hospital, International University of Health and Welfare, Tokyo, Japan

※当院HP業績の項目より抜粋

 

また、当院にてオスカー検査（コンバインド検査）が受けられるようになりました。

コンバインド検査（オスカー検査）は超音波検査と採血（free βhCGおよびPAPP-A）により、ダウン症などのリスクを専用のソフトウェアで解析して評価する出生前検査です。

オスカー検査、ご興味のある方はメールにてお問い合わせください。