第4回日本不育症学会は6月第1週の土曜日に名古屋にて開催されました。
シリーズで紹介してきました学会の参加報告の最終回です。
これまでは、ネオセルフ抗体についての私達の研究発表の紹介や不妊症とネオセルフ抗体についての演題などについて解説してきました。
学会は不育症についてのかなり専門的な学会で、15題の一般演題の他にも海外からの招請講演やセミナーのプログラムもありました。
不育症と慢性子宮内膜炎についてのイリノイ大学のStephenson教授の特別講演では、海外からの最新の知見も学べることができました。
慢性子宮内膜炎についてはその病態についてまだ明らかになってないことも多く、子宮鏡による子宮内のマクロな(=肉眼的)所見とともに組織・病理検査による診断や病態の分類、適切な治療とその効果判定を正しく行う必要があります。
教授はフロアーからのわたしの質問にも丁寧にご回答くださいまして、大変ありがたかったです。
また、一般演題ではヘパリンに対するアレルギーであるヘパリン起因性血小板減少症(Heparin-Induced Thrombocytopenia: HIT)やその代替薬を投与した症例、また、免疫グロブリン投与が奏功した症例などの症例報告の演題も大変勉強になりました。
今回、名古屋市立大学教授の杉浦学会長にもご挨拶できまして、大変有意義な学会参加となりました。
クリニックは2018年12月に開業して、約3年半で不育症についての専門家が集まる学会で演題発表ができるまで成長しました。
不育症専門開業医が提供する不育症治療についてわたしの師匠である名古屋の青木産婦人科クリニックの青木先生と共同演者の東京大学永松准教授とのスリーショットなどもFacebookでもご覧いただけます。
お忙しい中、内覧会にも顔を出していただいた山王病院長・国際医療福祉大学教授の藤井先生とも今後の医療連携についてゆっくりお話が出来ました。
不育症や抗リン脂質抗体症候群は難病にも指定されており、まだまだ原因や治療法がわかっていないことが多い病気です。
これからも新しい知識を常にアップデートする姿勢を忘れないようにしたいものです。
次回、第5回日本不育症学会は手稲渓仁会病院山田秀人先生を学会長として来年の夏に北海道で開催されます。
中身の濃い盛りだくさんの学会でしたが、ブログに書ききれなかった内容については不育症外来にて解説いたします。