2月1日水曜日に行われました東京大学周産期研究会のWEBミーティングの参加報告の第2回です。
研究会は総勢100名以上の参加者が集まりまして、活発な質疑応答がありました。
質疑応答では、日本赤十字社医療センターの宮内彰人副院長/周産母子・小児センター長などの経験に基づいたコメントもとても勉強になりました。
折角参加したので、質問をしてみた埼玉医科大学病院、吉田智昭先生の「当院でのRPOC管理と対応について」という演題についてポイント解説してみます。
RPOC(Retained products of conception)とは妊娠終了(流産、人工妊娠中絶、早産、妊娠満期での分娩)後に胎盤や胎児組織が遺残するものと定義されます。
日本では胎盤ポリープや胎盤遺残といった名称で呼ばれることもあります。
RPOCのリスク因子としては、高齢妊娠やART妊娠、帝王切開や流産手術の既往などが知られています。
近年ではこのようなリスク因子の増加に伴い、RPOCが増えてくることが予想されています。
実際に今回のRPOC76症例の統計解析では、ART症例が約20%と目立ってました。
RPOCの症例では大量出血や子宮内感染を起こすことがあり、子宮動脈塞栓術(UAE:Uterine Artery Embolization)が可能な施設で管理することも必要です。
大量出血を起こして子宮動脈塞栓術(UAE:Uterine Artery Embolization)をするまで至らないような症例には、子宮内容除去術、子宮鏡下手術などの手術療法や待機療法が行われます。
このRPOCを認めた場合には、どのような方が大量出血を起こすのかということについてですが、
①、RPOCに血流を認めたり、
②、組織の大きさの長径15mm以上あるような
グループは有意に大量出血を起こすことが多いという結果でした。
また、出血イベントまでの日数のデーターなども興味深かったです。
今回の発表は、出産例についての76例の臨床統計の解析ですが、RPOCは不十分な流産手術や人工妊娠中絶手術後にも起こります。
当院は子宮鏡検査を行っているため、他院で施行された人工妊娠中絶手術や流産手術後に出血が原因で来られる患者さんに子宮鏡や超音波によってRPOCを診断することが多々あります。
流産手術後に発症したRPOCの診断と基幹病院への紹介を含めた外来管理について、質問してみましたが、東京大学の秋葉直也先生からも合わせて貴重な回答をいただきまして、大変参考になりました。
東京大学医学部産婦人科入山高行准教授の閉会挨拶のあと、新型出生前診断についての事務仕事なども進めることが出来、大変有意義な水曜日の夜でした。
当院は今年度中に、看護部の増員と研修が修了し診療体制が整い次第、NIPT(新型出生前診断)に基づく診療も開始します。
看護師や臨床心理士・遺伝カウンセラーなどのコメディカルスタッフの増員と研修を計画しておりまして、こちらはもうしばらくお待ちください。