お久しぶりです。事務スタッフの小川です。
寒さも和らぎ徐々に春らしい穏やかな気候になって参りました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
3月は寒さと引き換えに花粉が猛威を振るう時期でもあります。
くれぐれも体調を崩さないようにお気を付けください。
さて、本日は“漢方”についてです。
医学界には漢方治療という療法が存在します。
漢方は中国を起源とし5-6世紀に日本に伝来し、日本人の体質や生活に合うように独自の進化・発展を遂げてきました。
今ではさまざまな医療分野で取り入れられています。
漢方と聞くと、苦い粒状の薬という概観以外には、その種類の多さや効能の類似性から具体像を掴み難い印象があるように思います。
そこで、今回は漢方を理解するための導入となる知識について纏めました。
まずは漢方と西洋医薬の相違についてです。
結論から言えば、診断方法が大きく異なります。
西洋医薬が診断した病名を処方の基準とするのに対し、漢方は症状から認定した「証」を基準とします。
証については、生体検査ではなく望聞問切(五感による症状の把握)という独自の診断方法を用いて判定します。
判定は、諸症状を「陰陽」と「虚実」に分類して行います。陰陽の分類は、熱性の高低により行います。
これによると、基礎代謝が高ければ陽、低ければ陰、暑がりであれば陽、寒がりであれば陰と判断されます。
虚実の分類は顕在性・潜在性や強弱により行います。
難しいので、おおまかに対義熟語(〇△)の前方(〇)が陽・実、後方(△)が陰・虚と考えればよいと思われます。
そして、陰陽、虚実と漢方薬の効用を照合して処方を行うというのが漢方特有の診断方法になります。
また、漢方は化合物ではなく、自然界に存在する動植物等を加工した生薬と呼ばれる薬草を原料とする点も西洋医薬との相違です。
西洋医薬は有機合成反応により作られた化合物により構成されます。
生成の工程としては、疾患関連タンパク質の立体構造から中枢機能を担う部位を特定しその機能を阻害する化合物を生成する方法が主に用いられます。
一方で、漢方は原料生薬を水で煎じ、抽出・ろ過・濃縮・混合・圧縮・粗砕等の化学反応を伴わない方法により生成されます。
従って、非人工的な手法によるために一般的に漢方の効果は穏やかと言われます。
このことは、次のことと表裏一体の関係にあります。
すなわち、強度の副作用が少ないという利点です。
漢方は化学反応により新たな物質を作るのではなく既存の物質から構成されるため、生薬それ自体に強いアレルギー反応がなければ安心して服用できると一般的に言われています。
もちろん、漢方に副作用がないわけではなく、稀に(0.1%未満と言われる)強度の副作用が生じる場合があるので漢方を服用する際にも注意が必要です。
副作用発現リスクの指標等により、自身のリスクの高低を理解しておくべきと言えます。
以上、ざっくりとではありますが、漢方についてのまとめです。
今後、皆様が漢方を服用する機会がある時に、少し意識してみると面白いかもしれません。