初夏のような日差しになりました。
これまで、第1回アジア生殖免疫学会のシリーズ報告です。
不妊症および不育症におけるネオセルフ抗体と補体についての我々の研究成果も発表して、約1か月。
おかげささまで問い合わせも多く、Youtube動画配信も行っていますので興味のある方はそちらもご覧ください。
第1回アジア生殖免疫学会(7)では、当院が注力している着床不全と新たに臨床研究を始めた同種免疫についての講演「The distribution of serum Th1/2 ratio and NK cell activity in patients with recurrent implantation failure」のポイント解説の続きをしたいと思います。
この発表では、2回以上体外受精胚移植し、少なくとも2回以上反復して着床不全のため結果の出なかった患者さまを母集団として、①Th1/Th2比と②NK細胞活性(=NK細胞活性度)について調べていました。
①Th1/Th2比や②NK細胞活性は、免疫(=生体防御機構)の強さの指標(となる血液検査)です。
ちなみに、この母集団における平均値は、Th1/Th2比が10.3、NK細胞活性が22.9%で、Th1/Th2比は10.3以上を、NK細胞活性は40%以上を治療対象としていました。
繰り返しになりますが、当院でも不育症・反復着床不全・不妊症における同種免疫異常の関与についての臨床統計およびその解析を進めています。
同種免疫が異常値(Th1/Th2比が10.3以上、あるいは、NK細胞活性が40%以上)である患者さまは、臨床研究の対象となりまして、各種検査や治療についての優遇措置があります。
詳しくは、お問い合わせフォームまたは電話にてお問い合わせください。
NK細胞とは腫瘍細胞やウイルス感染細胞などの自分以外(=自己以外の)細胞を障害させる作用があるリンパ球の一種です。
同じような役割を持つ細胞に、キラー細胞がありますが、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)はキラー細胞と異なり、抗体の助けを必要とせず、細胞を障害することができます。
Th1/Th2比が異常高値の方の治療には、自費診療になりまして、タクロリムスが用いられています。
混合診療は原則的に禁止されていますが、他院で保険診療をされている方でも、同時に当院で自費診療を受けることができます。
体外受精・胚移植を他院でされている方がこのような検査や治療についての自費診療を当院で受ける場合に、港区在住の方に対しては、区より特別の補助があります。
詳しくは、港区のホームページをご覧ください。
NK細胞活性と着床不全・不育症について、臨床研究の結果をまとめて、学会でも報告していきたいものです。